西田敏行さん、ピーコさんの死去めぐる“憶測”がSNSに拡散…根拠なく「コロナワクチン説」が流れてしまう事情
17日に76歳で亡くなった俳優の西田敏行さんと、9月3日に亡くなっていたことが分かった双子タレント「おすぎとピーコ」の兄でファッション評論家のピーコ(本名・杉浦克昭=享年79)さんを巡る"憶測"がネット上で拡散されている。 【写真】元グラドル小出広美さん 日本最大規模の「反ワクチン団体」で活動するワケ 西田さんの死因は所属事務所が「虚血性心疾患」と発表し、ピーコさんは「敗血症」による多臓器不全だったという。 「いずれも血栓ができることなどから、新型コロナワクチンの副作用と疑うユーザーがSNSで拡散しています。しかし、これらは一般的な死因として珍しいものではない。それ以前にそもそもお二人が新型コロナワクチンを接種したのかは明らかになっていない。さらに拡散の発端となったとみられるのが、医師を名乗る男性の西田さんが亡くなる数日前に打ったという情報を入手したという投稿でした」(医療ジャーナリスト) SNSでは《ワクチンの広告出てたらしいから当然ご自身もうってるんだろうな》《西田さんはワクチン接種の旗振り役をしていた訳だからうってたと捉える方が自然な訳でうってないと言う側が根拠を出すべき》《西田さんに限らず先日亡くなったピーコさんもワクチンを接種したため敗血症で亡くなった可能性は高い。(ピーコ・ワクチンで検索すればいくらでも出てくる)》などといった具合だ。 ちなみに西田さんは過去に「肺炎球菌ワクチン」のCMに起用されていた。このことを根拠にする投稿も多数みられたが、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザ予防接種を受けていても、「新型コロナワクチン」を接種しない人はいる。 ■「陰謀論を組み立てるには適しています」 そもそもこうした陰謀論的な投稿はコロナ禍から多く見られるようになった。ITジャーナリストの井上トシユキ氏がこう分析する。 「陰謀論的な投稿が増えたベースとして日々の報道に対するマスコミや政治家への不信感があります。契機となったのが新型コロナウイルスで、当初中国の武漢で発生したと報じながら、『マスコミの追及が弱い』『政治家が中国に忖度している』といわゆる嫌中韓のネトウヨと呼ばれる層から、攻撃の象徴テーマになってしまいました。個別の事案ではなく、ウイルスは国民全体に関係するテーマなので、話題性もあって陰謀論を組み立てるには適しています」 もっとも、新型コロナワクチンの副作用による死亡や後遺症が認められているケースはある。関連死や後遺症については検証や補償は当然だが、一方で、「接種したら3年で死ぬ」や「マイクロチップが埋め込まれている」などの突拍子のないものまで、医療従事者を名乗る人々が拡散するのは不思議だ。 「パワハラ疑惑などが取り沙汰された斎藤元彦前兵庫県知事が、疑惑の一切の非を認めなかったのと構図は似ています。医療従事者だからこそ、一度表明したスタンスを崩すことはできないのでしょう。西田さんやピーコさんのように好感度の高い有名人が亡くなった時というのは持論を拡散するにはバズりやすいタイミングでもあります。国民の"悲しい"という感情はSNS拡散には影響しやすい。死因が副作用でも起きるものであればなおさらです。ワクチンデマ論争は終わりが見えません」(前出の井上トシユキ氏) そもそもワクチン接種は推奨をされていても強制ではない。デマや誹謗中傷による名誉棄損が問題になるなか、根拠のない投稿は危険だ。 ◇ ◇ ◇ 陰謀論と宗教も切り離せない?●関連記事【もっと読む】幸福の科学が生んだ反ワクチン・反マスク活動家 主張や活動はなぜか教義とは別物…は興味深い。