窃盗、脅迫、強盗殺人未遂も…不祥事相次ぐ金融業界 元支店長が語る背景
■相次ぐ不祥事 元メガバンク支店長が語る背景
金融業界の相次ぐ不祥事の背景についてです。 元メガバンク支店長の菅井さんによると、1つ目に考えられるのが『人材力の低下』です。 バブル崩壊前後の1990年度・東大卒業生の就職先企業ランキングでは、10位までに銀行が6行入っています。 金融業界の昔のイメージを街で聞きました。 メーカー勤務の50代男性 「僕らが就職したころは、周りにも自慢できたし、親にも喜んでもらえるような人気の就職先だった。信用の代名詞のような職業」 60代の主婦 「何十年も前は、銀行員は堅い仕事で、真面目で給料も安定していて、生活には困らないイメージがあった」 2024年に卒業した東大生の就職先企業です。 トップ10に経営コンサルタントの企業が5社入っている一方で、銀行は9位に1つだけです。 金融業業界の今のイメージについて聞きました。 20代大学生の男性 「就職先として魅力を感じない。転職が当たり前で安定を求めるような時代じゃない。そもそも銀行に入ったら、一生安心というわけでもない」 IT関係に務める20代男性 「激務の割には、収入もそれほどないというイメージ。就職先の選択肢として、考えたことはなかった」 元メガバンク支店長の菅井さんによると、 「低金利の時代が長く続いたことも影響して、就職先として銀行が選ばれなくなっている。優秀な人材確保のハードルが高くなっている」ということです。 金融業界で不祥事が続く背景2つ目は、『コンプライアンス意識の低下』です。 菅井さんです。 「銀行業界は、これまで新卒一括採用で、様々な部署を経験させて、人材育成をしてきた。入行後に不正を行うと大変なことになると、これでもかというくらい叩き込んで、銀行員らしくなる」 具体的にどういうことでしょうか。 菅井さんが『行員魂』を叩き込まれたエピソードです。 上司に、引き出しやロッカーの抜き打ちチェックをされる習慣がありました。 菅井さんは、自分のロッカーに新聞を無造作に置いていました。 すると、上司がロッカーを見て、 「銀行員たる者、きちんと整理しなさい!」 「(整理整頓ができていないと)お客様の大事な書類やお金をなくす要因になる!」 と、大叱責を受けました。 さらに、菅井さんが若手の頃、金庫は2人で開けないといけないルールでしたが、もう1人が捕まらず、1人で開けようとしました。 その時、支店長に見つかり、 「どうしてルールを守れないんだ!」 と、大叱責を受けました。 その後、朝礼のとき、 「菅井が金庫を1人で開けようとした。とんでもない!」 「ルール違反は絶対に許さない!」 と、約40人の行員の前で叱られました。 業務として、 ●外為担当が貸金庫のカギを数えたり、 ●現金検査を外回りがやったり ●外回りのチェックを預金係がやったり、 チェックし合う習慣を叩き込まれた、ということです。 菅井さんです。 「業務の効率化で、業務の一部を省略や簡略化したり、外注したりするようになったことで、銀行のルールを学ぶ機会が失われた結果、コンプライアンス意識の低下につながっている可能性がある」