マイホーム探し「中古戸建て」を見るポイント4つ 「持ち家」を望む若い世代が増加、その理由は?
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)で定められた耐震等級についても、1~3という形でそれぞれ建物の強さを示す目安が存在する。 しかし中古戸建ての耐震性能は、これらの規定だけでは判断できない難しさがある。 たとえば一般的な木造住宅では、10~15年ぐらいで屋根や外壁のメンテナンスが必要になってくる。窓などの開口部周りに用いるシーリング部分の劣化などが進むと雨漏りが起こり、どんどん内部へと浸入していき、築年数とともに被害が大きくなっていく。
屋根の場合は雨漏りという形で気づきやすいが、厄介なのは壁側からの雨漏りだ。壁側から水が入っていても、室内で明らかになるまでには時間を要するケースが多い。気づかずにじわじわと壁の中を通って床下まで到達し、最終的には土台が腐食する事態にまでつながってしまう。 また朽ちた木材がシロアリの餌食になるなどの要因ともなってしまうのだ。木造の構造体、耐震性能を含めた建物の劣化へと大きな影響を及ぼすことになりかねない。
加えて、建物の傾きにも注意したい。たとえば2000年以前の山あいのベッドタウン、造成地のような箇所は要注意だ。 擁壁と建物が近い敷地に立つ中古戸建てでは、地盤の補強が行われていない可能性も考えられる。造成時に掘り起こした土の締固めが不十分などの理由で地盤が軟弱な場合もある。 中古物件の場合、そもそもの耐震性能が100だったとしても、劣化によりそれ以下となる可能性があることを意識しておきたい。加えて見逃された初期不良が後々のトラブルにつながるケースも少なくない。
■「見えない」部分を知るためにできること 中古の戸建てを購入する際の注意点について、4つの観点から駆け足でご紹介してきた。強調したいのは、新築以上に「見えない部分を見る」に重きを置いてほしいという点だ。 外側がリフォーム・リノベーションで美しくなっていても、見えない箇所はどうなっているのかはわからない。建物を見るプロ、インスペクターに依頼し、将来的に発生するコストもある程度想定したうえで、物件を選んでいくという考え方が大切になってくる。
また建物のみならず、隣家との境界や関係性、道路の所有なども忘れずにチェックしておきたい。このようなポイントをおさえ、納得のマイホームを手にするためには、戸建てに長けた不動産エージェントをしっかりと選ぶのも重要だ。 「見えない部分」に目をこらすという意味では、新築より選ぶのが難しい中古住宅。専門家のアドバイスを受けながら、納得できる持ち家を探してほしい。
長嶋 修 :不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)