イタリアンのシェフがラーメンを?…ラーメン業界の最高権威が“激推し”する「中華そば」
「東京ラーメン・オブ・ザ・イヤー」として「東京で一番旨いラーメンを決めようじゃないか」をテーマに20年以上発行し続ける歴史を誇り、ラーメン業界の最高権威と呼ばれるMOOK本「TRYラーメン大賞」。 【マンガ】外国人が「うまい」と評したラーメン、日本人には「衝撃」だった 年に1度一都三県の店を、ラーメンに造詣の深い審査員がランキング形式で発表している。今回はそのTRY審査員歴15年以上の古参の三名が、同エリアでこの1年以内にオープンした新店と、既存店である名店の中から推しの一杯を紹介する短期連載企画。第六回となる最終回は、全国のラーメンを食べ歩く元祖“ラーメンクィーン”レイラ氏による新店のこの一杯!
TRY殿堂入り店の新たな挑戦
『三つ由(みつよし)』 千葉県・松戸市▶︎JR常磐線馬橋駅
今が一番“完成形”の「中華そば」
「TRY(「TRYラーメン大賞」/講談社刊)」で見事"名店部門の殿堂入り”を果たした、東京・大井町の名店『ajito ism(アジト イズム)』の店主が、屋号、場所、そして、メニューも一新して2023年3月にオープン。 店主の三浦康弘さんは、イタリアンやフレンチのシェフとして培った経験をもとに「ベジポタつけ麺」や「ピザソバ」という、これまでにない独創的なメニューを生み出し、ラーメン界で15年もの間第一線で活躍し続け、その地位を確立してきた実力者だ。 その店主が新天地で提供するのは、「中華そば(醤油)」。国産骨付き鶏モモ肉と煮干しでとった芳醇で濃厚な旨みのスープに、浅草開化楼の平打ち中太麺と合わせることで、王道ながら個性が光るラーメンに仕上げた。2024年4月には「中華そば」をリニューアル。 それまでのスープにアサリとサバをプラスすることで、濃厚な旨みと奥行きが広がり、輪郭の立つ一杯が完成。押し寄せる美味しさの波に存分に身を委ねてほしい。 ---------- TRY審査員・レイラ氏コメント 気骨溢れる店主の一杯に心震えました! ダウンチューニングしたベースのように重低音が腑に響く薄濁りのスープ。アサリのギュッとした旨みがコクを増幅させています。絶品チャーシューはあえて隠されており、食べ進むと立派な体躯をのぞかせるという、レスラーがガウンを脱ぎ捨てる時のような粋な演出! 更にイレギュラーメニューも見逃せません! ---------- 「中華そば」におけるメインディッシュと位置づけ、“焼き”を追求した柔らかくジューシーな焼豚。豚肩ロースを低温のオーブンで100分間焼き上げることで、香り高く仕上げている。タレにはハチミツも使用し、美しい照りとコク深さが加わっている。 素材の持つ旨みをパワフルに抽出し、あとを引く美味しさになっている。2024年4月のリニューアルに伴い、アサリの甘みが加わった。本醸造の「本膳」をベースにしているカエシは、たまり醤油の割合を増やすことで、より濃密な味わいに。 移転オープンを機にタッグを組んだ製麺所・浅草開化楼。長年にわたり付き合いのあったカリスマ製麺師・カラス氏提案の平打ち中太麺の美味しさに店主も驚いたそう。しなやかながらコシがある麺は、旨みの強いスープとの相性が抜群だ。 「中華そば」に、豚バラチャーシュー3枚がのった「焼豚中華そば」1200円。豚バラ肉の脂の甘みがスープに溶け出し、味により立体感が生まれる。限定10食。※提供の有無は訪問当日の「X」を要確認。 サイドメニューの「今日のごはん」は3日ほどで入れ替わる。準レギュラーメニューの「焼豚ハヤシライス」400円は人気のひと品(数量限定)。コクのあるデミグラスソースに切り落としの焼豚とバターでソテーした玉ねぎがたっぷり入る。鶏のスープで炊いたご飯も魅惑の味わい。 女将・三浦祐美子さん。アパレル業界を経験後、大井町の『ajitoi ism』から女将として活躍。柔らかな物腰とチャーミングな笑顔、テキパキながら温かで気持ちの良い接客にファン多数。「X」(旧Twitter)の発信も担当。 「個性の重要性を再認識した」と話す店主の三浦さん。ほかに「しょうが醤油の中華そば」900円もあり。日替わりメニューは店頭とSNSで確認を。店主こだわりのフィギュアも見られる「X」は要チェック。 「ラーメンは難しいけれど、自分なりの解釈で追究する」と千葉県・馬橋にて2023年再出発。同地は女将・祐美子さんの出身地。住宅街に佇む落ち着いた一軒家だ。 ---------- 住所:千葉県松戸市西馬橋蔵元町186-2 営業時間:11:00~14:00 定休日:火曜日 ※連休、臨時休業あり 席:カウンター4席、テーブル2席×2卓 交通:J R常磐線馬橋駅西口より徒歩7分 駐車場:2台 https://twitter.com/ajito_ism ※「中華そば(醤油)」は限定50杯なので、早い時には13時頃に売り切れることも ---------- ---------- TRY審査員プロフィール レイラ ベリーダンスのインストラクターとして活躍する傍ら、全国のラーメンを食べ歩く元祖“ラーメンクイーン”。強靭な胃袋が自慢で、2~3杯の連食を得意とする。また、プロ顔負けの料理の腕を持つ。 ---------- 撮影・関根則夫 文・市村幸妙
TRYラーメン大賞編集部