菱餅の由来から発見!ひな祭りの原点は〝ジェンダーレスに邪気を払う行事〟だった
あけましておめでとうございます!お正月はおせちやお雑煮を食べて、初詣(はつもうで)に出かけたという方も多いのではないでしょうか。「花より団子」という諺(ことわざ)があるほど、各行事には美味しい食べ物が欠かせませんよね。今回は、各季節の行事に欠かせない〝お菓子〟に注目してみました! こんにちは。和菓子が大好きな、おみやげライターの嶋田コータローです。 みなさんは、普段、和菓子を食べますか? 和菓子は、日本に古くから伝わる色々な行事と関係のあるお菓子が多いです。 今回は、ひな祭りに飾られる「菱餅(ひしもち)」について紹介していきます。 ひな祭りは、子どもたちの成長と幸せを願うお祝いの日(3月3日)。桃の節句とも呼ばれています。そのお祝いの日にお供えする特別なお菓子が「菱餅」なのです。ひな人形を飾るご家庭であれば、見たことがあるかもしれませんね。 ▪古代中国の「厄払いの風習」がはじまり 菱餅の由来を辿る(たどる)と、中国の風習に行きつきます。古代中国では、草の香りが悪いものを祓う(はらう)と考られていたことから、母子草(ははこくさ)を混ぜた草餅を旧暦3月3日に食べる習わしがありました。 その習わしが伝来し、日本古来の風習と合わさったことで、江戸時代に女の子が産まれて初めて迎える節句「上巳(じょうし)の節句(せっく)」、現在のひな祭りのお祝いに欠かせないお菓子として、大切にされるようになりました。 江戸時代では緑と白の二色でしたが、明治時代以降に紅・白・緑の三色へと変化。時代とともに形も色も違う餅になったのが菱餅なのです。 ▪カラフルな色合いに込められているのは『子どもたちの健やかな暮らし』 菱餅の特徴は、独特の形と色です。 餅(もち)といえば、まん丸や四角い形を思い浮かべるかもしれませんが、菱餅はダイヤモンドのような菱形(ひしがた)をしています。 じつは、菱餅の三色にはそれぞれ意味があるのですよ。諸説ありますが、紅は桃の花を、白は雪解けを、緑は新緑を表しているといわれています。これは春の訪れや良い時期の到来を象徴(しょうちょう)していて、菱餅が春の訪れを祝うお菓子であることを意味しているのです。他にも、紅は魔除け、白は清浄、緑は健康を表しているという説もあります。 いずれにしても、みなさんが元気で健やかに暮らせるようにという想いが込められているのかもしれませんね。 ▪菱餅って何でできているの? 菱餅は一体どうやって作るのでしょうか。 作る方法はシンプルで、まずもち米や米粉を使ってお餅の生地を作ります。そして、お餅を三色に染めて重ねて、最後に菱形に切ればできあがりです。 見た目が美しく、特別な日にぴったりのお菓子です。一般的なお餅のように味がついていないものが多いので、食べ方は自由。醤油(しょうゆ)をつけたり、きな粉と砂糖をつけたりして食べるのもよいですね。 菱餅は、ひな祭りの時期にスーパーマーケットや和菓子屋さんで見かけます。ひな祭りの時期にお店にいくことがあれば、三色の菱形のお餅を探してみてください。 子どもたちの幸せや健康を願う特別なお祝いの日「ひな祭り」。菱餅は、昔から今でも、ひな祭りになくてはならないお菓子として、日本人に愛されています。ひな祭りのお祝いを彩り豊かにしてくれる大切なお菓子なのです。 【参考文献】事典 和菓子の世界(中山圭子 著)/ 美しい和菓子の図鑑(青木直己 監修)/ 和菓子の歴史(青木直己 著)/ 季節と餅(農林水産省)/ 大正期から昭和初期における上巳の節供ー文献調査にみる菱餅の多様性ー(小池美穂)
嶋田コータロー