「寝かせてくれ」「耳ふさぎたくなる」子どもの夜泣きに追い詰められる、母の叫び 支援の現場は #令和の親
夜にともる明かり
一方で「リアル」な支援の場もある。松戸市の「ドリーム子育て支援センター」は午後10時まで開所。夜間に利用できる子育て支援センターは全国的にも珍しい。 スタッフと談笑していた育児休業中の会社員女性(34)=同市=は、夫の帰りが遅く長女(2)と次女(0歳4カ月)を1人で見る時間が多いという。息が詰まるような思いの中、センターに救いを求めるようになった。女性は「下の子は夜泣きもあって、何をしても泣くので『どうしたら良いか』と悩むこともあった。スタッフの方は『大変だよね』と受け入れてくれるので助かります」とほっとした表情を見せる。多い時で週1回ほど通っているという。
同センターは社会福祉法人「さわらび福祉会」(和田泰彦理事長)が運営し、0歳~未就学の子どもと保護者が利用できる。保育士や社会福祉士の資格を持つスタッフが保護者に寄り添いながら根気よく話を聞く。 1人で家事と育児をこなし、夫の帰りを待つ時間帯は「魔の刻」(同センター)とも言われ、疲労からイライラが募り気持ちが暗くなりがちだ。訪れる人の理由はさまざまで、夜泣きの相談のほか、子どもがなかなか寝つかない、夫が在宅勤務のため「静かにしないといけない」など。子どもに発達障害がある人が「静かな環境で子育ての相談をしたい」と訪ねて来たり、「ここに来なければ手をあげていたかも」と深刻な状況だったりする場合もあるという。 「魔の刻」に来所した保護者は子どもを遊ばせながらスタッフと話すことで、安心した表情を見せる。
新型コロナ禍では一時閉所したり予約制にしたりしたが、今は多い月で30人ほどが来所する。スタッフの1人は「人が来ない日もあるが、開けておくことに意味がある」とうなずく。和田理事長は「顔を見れば保護者とスタッフの距離も縮まり、『心地よいお節介』ができる場所。ここに来れば何とかなる。悩みはそれぞれだと思うが、一人で思い詰めず頼れるところを頼ってほしい」。日が暮れた夜も、こうこうとセンターの明かりをともし続けている。