子どもの歩き方に違和感、手足の変形や痛み 運動器疾患、専門医が語る注意点とは
子どもの成長・発達と運動器(骨や筋肉、関節、神経などの身体運動に関わる部位の総称)のトラブルについての健康教室が3月、京あんしんこども館(京都市子ども保健医療相談・事故防止センター、京都市中京区)であり、京都第二赤十字病院名誉院長の日下部虎夫さん(小児整形外科)が発育の各段階で注意する点を解説した。 【画像】子どもの歩き方がおかしくなる原因(講演資料より) 子どもの身長は乳児期と10代前半に大きく伸び、スポーツでのけがも筋肉発達とのアンバランスで生じやすくなる。日下部さんは子どもの運動器の特徴として▽骨が軟らかい▽筋力が弱い▽軟骨が厚く傷つきやすい▽骨と筋肉の成長が不均衡-と説明。小児整形外科医として見ている点(「子どもの運動器の発達で気になること」参照)を挙げ、乳幼児期の健康診断における発育性股関節形成不全(DDH)のスクリーニングと早期治療を求めた。 京あんしんこども館で行っている小児整形外科相談事業では、生後3~4カ月でDDH疑い、1歳半~2歳で下肢変形や歩行異常、四肢形態異常、3歳以降は四肢の痛みについての相談が多い。「(発育には)順番があり個人差があるが、保護者が運動発達の悩みを相談できる人がおらず、インターネットには不適切な情報がある」と指摘。不器用でけんけん(片足跳び)ができないなどは気にしなくてもよいが、治療が必要な病気もある。健康診断でも運動器疾患の理解不足で見過ごされてしまう恐れがあるといい、注意を求めた。 子どもの歩き方については個人差や特徴があるが、屋外での運動が少なくなっていることに懸念を示した(「子どもの歩き方がおかしくなる原因」参照)。 成長に伴う下肢の痛みなどの「成長痛」についても説明した。夕方から夜に膝やすね、ふくらはぎ、足、太ももなどに生じ、激しい痛みがある。部位は腫れず、翌朝には症状がなくなる。幼児から思春期までの子どもに生じる。入学や転居など環境の変化も背景にあるといい、ストレス緩和とメンタルケアが必要となる。新型コロナ禍も誘因になっていたのではないかという。長時間の痛みの持続や足を引きずるなどの場合は他の疾患が疑われると説明した。