シャウエッセンを超えろ!~巨大食肉メーカーの大改革
平成No.1ヒット商品~意外すぎる隠し味とは?
平成の30年間にスーパーで一番売れた商品(「日経メディアマーケティング」/2019年当時の集計)のベスト3は、第3位「マルちゃん焼そば」、第2位「アサヒスーパードライ」、そして第1位に輝いたのがウインナーの「シャウエッセン」だった。 【動画】「シャウエッセン」意外すぎる隠し味とは?
それまで赤いウインナーが主流だった日本に日本ハムのシャウエッセンが登場したのは1985年のこと。人気に火をつけたのは弾ける食感と溢れ出る肉汁。商品名はドイツ語の「観る(シャウ)」と「食べ物(エッセン)」を組み合わせた。味わうだけではなく、見た目も楽しめる本場ドイツのウインナーとして食卓の定番になった。
シャウエッセンを作っている日本ハム北海道ファクトリーを訪ねてみると、小学生でいっぱい。子どもたちに人気の工場見学は2カ月先まで予約が埋まっている。 その製造方法は従来のウインナーとは大きく異なっていた。 まず、従来の家庭用ウインナーには鶏肉や魚肉なども使われていたが、粗挽きの豚肉のみを使用。その粗挽き肉に投入されるのは粉末状の水飴だ。「水飴を使用することによって日本人が好みとする甘味とうまみを際立たせます」と言う。本場ドイツのソーセージはビールのつまみとして食べるため、塩気が強いのが特徴。だがシャウエッセンは、ご飯のおかずに合うよううまみを引き出す水飴を加えたのだ。 次は挽肉を詰める皮。従来のウインナーはコラーゲンなどで作った人工の皮を使っていたが、シャウエッセンは本場と同じ羊の腸を使った。そしてじっくりと加熱・燻製すれば完成だ。
午後2時、工場のスタッフが集まってきた。その日に作ったものを試食し、味と食感を確認する「官能検査」。30年以上、毎日続けられている。「味や『パリッと感』が出ているかという部分を、官能検査として食べながら検査しています」と言う。 調理法も変えた。従来のウインナーは炒めるのが当たり前だったが、皮が焦げたり、破れて肉汁が逃げてしまう。そこでシャウエッセンはボイルを提案した。 スーパーでの試食販売を広めたのもシャウエッセンだと言われている。実は発売当時、羊の腸に包まれたウインナーを敬遠する客が多かった。そこで実際に食べてもらい、味や食感、パリッとした音を知ってもらおうとしたのだ。 すると発売翌年には売り上げ250億円を突破。日本ハムの看板商品となった。