「醤油屋あかん」と一時は製造断念も再起へ!被災した能登の醬油店を支えたのは?
能登復興へ前を向く人々を訪ねる特集「能登人を訪ねて」。今回は、七尾市で伝統の醤油づくりを続け、地元の味を守り続ける女性を訪ねた。 老舗の醤油店が地震後初の仕込みへ
鳥居醤油店 国の登録有形文化財の建物にも大きな被害
七尾市の一本杉通り。かつては老舗の商店が並んだ通りは、まだまだ地震の爪痕が残っている。壁をブルーシートで覆った建物の一角に「鳥居醤油店」と書かれた店。女性はこの店の女将だ。 稲垣アナウンサー: こんにちは。 稲垣アナウンサーを迎えてくれたのは、鳥居醤油店の3代目、鳥居正子さんだ。鳥居醤油店は1926年創業。約100年近くの歴史がある老舗である。 作っているのは、原材料の産地まで能登にこだわった醤油だ。原料の大豆、小麦、塩は能登産。醤油づくりには欠かせない醤油麹から自社で作り、その麹を塩水で漬け込み、蔵に住み着いている酵母と共に2年間発酵熟成させ、もろみにしていた。 しかし、元日の地震で国の登録有形文化財にも指定されていた建物は、倒壊こそ免れたものの全体が大きく傾き、外壁がはがれ落ちたりするなど大きな被害が出た。鳥居さんがある場所へ案内してくれた。 鳥居さん: ここはお店の帳場で、商品を販売しながらお話する場所です。 稲垣アナ: 見ると改めて、地震の被害のすさまじさというのが物語られますね。 鳥居さん: うちは土蔵造りだから、土壁だったから余計やられちゃったのかな。 稲垣アナ: 建物自体も、自分たちで直そうといっても歴史ある建物だから難しいのでは。 鳥居さん: すごい大変です。登録有形文化財なんで少し補助があると思うけどほとんどね、自己負担…
緊急地震速報!一時は「醤油屋あかん」と…
鳥居さんが地震が発生した時の様子を語ってくれた。 鳥居さん: 緊急地震速報が鳴った直後にすごい揺れがきて。その時どのくらいの揺れかはあまり記憶にないんだけど、みんなコケました。立っていられなかった。起き上がったら仕事場が、もろみ蔵が、土壁なので砂ぼこり。それで醤油屋あかんと思って逃げました。 地震は夕方に発生したため、夜が明けるまで被害の全貌は見えなかったが…。 鳥居さん: 翌朝、主人が避難所から町に戻ったら、大変なことになってるって。うちに戻ってきたら…アルバイトさんが「桶ともろみ大丈夫です」って。蔵入ってくれたんですよ。大丈夫、だったら醤油屋続けられるかなって思いました。