「確実な安全が担保できない」JR九州が日韓航路から撤退発表 浸水隠しの「クイーンビートル」運航再開断念 30年余の歴史に幕 福岡
テレビ西日本
博多と韓国・釜山を結ぶ高速船「クイーンビートル」の浸水隠し事件で、JR九州は23日、運航再開を断念し、日韓航路の事業から撤退すると発表しました。 これにより30年あまり続いたJR九州の日韓航路は幕を閉じることになりました。 JR九州は23日開催の取締役会で、子会社のJR九州高速船の日韓航路を含む船舶撤退事業について決議しました。
■船体への浸水隠しで強制捜査
クイーンビートルをめぐっては運航会社のJR九州高速船が、船体の船首部分への浸水を把握しながら3カ月以上も国に必要な報告を行わず、センサーが作動しないように位置をずらしたり、航海日誌に「問題なし」などと記載してデータを改ざんしたりして運航を続けていたことが8月に発覚し、福岡海上保安部は10月、船舶安全法と海上運送法違反の疑いで強制捜査に踏み切りました。 また親会社のJR九州は、外部の第三者委員会の調査報告書を踏まえ11月、JR九州高速船の当時の社長と運航管理者、安全統括管理者の計3人を懲戒解雇するとともに、3人に対し損害賠償請求を検討していることを明らかにしました。 第三者委員会の報告書は「このような事態を引き起こした責任はJR九州高速船の幹部及び船長にあると考える」とした上で、船舶安全法違反などにあたるおそれも指摘しています。 JR九州は鉄道の運輸部門の担当役員に新たに安全管理を担当させるなど安全を最優先とした役員体制を確立した上で、JR九州高速船では安全意識の醸成と法令遵守の意識を浸透させることなどに取り組むとする再発防止策を示しています。
■「運航再開のための確実な安全が担保できない」と判断
こうした中、JR九州はこれまで運航再開に向けて安全対策とハード対策の両面で検討を進め、古宮社長は20日の会見で「可能な限り早く結論を出したい」と話していました。 しかしハード対策を行っても船体へのクラック発生のリスクを完全に払しょくできず、運航再開のための確実な安全が担保できないと判断し、JR九州高速船の船舶事業撤退の決定に至ったということです。 今後、事業の届け出等については関係機関との調整が完了次第、廃止予定で、捜査への対応等がすべて完了した後に会社を清算するとしています。