オリックスは当期利益が過去最高…主要リース8社の4ー9月期、7社が増益の理由
リース会社の業績が堅調に推移している。14日出そろった主要リース8社の2024年4―9月期決算は、7社が前年同期比で当期増益だった。航空機・船舶や国内不動産、法人リースなどの需要が堅調に伸びた。8社中5社は通期の当期利益が過去最高となる見通しだ。航空機事業は成長が見込まれるが、機材の納期の遅れは依然として改善の見通しが立っていない。事業運営で対応の変更を迫られる可能性がある。 【一覧表】主要リース8社の業績詳細 「上期は金融、事業、投資の各分類とも想定通りの業績を計上できた」。オリックスの井上亮社長は24年4―9月期連結決算をこう評価した。当期利益は4―9月期として過去最高だった。インバウンド(訪日外国人)需要の拡大を受け、不動産や事業投資・コンセッション(公共施設など運営)などが伸びた。国内プライベート・エクイティ(PE)投資先の成長、大型不動産の売却なども利益を押し上げた。セグメント利益は不動産が同83・0%増の503億円、船舶や航空機などの輸送機器が同70・3%増の320億円と大幅に伸びた。 三井住友ファイナンス&リース(SMFL)も航空旅客需要の回復を受け、主力の航空機をはじめとするトランスポーテーション事業が伸長した。好調な航空機リースに加え、エンジンリースやヘリコプターリースが利益を押し上げ、同事業の経常利益は同43・0%増の397億円で着地した。再生可能エネルギーを手がける環境エネルギー事業も同32・8%増の45億円と伸長した。 東京センチュリーは当期利益が9月期として過去最高だった。航空機リースなどのスペシャルティ事業のセグメント利益が同55・4%増の170億円で増益をけん引した。オートモビリティ事業は新車の供給の遅れなどを受け、再リース収益、リース満了車両の売却益が増えた。政策保有株の売却益も業績を押し上げた。 芙蓉総合リースは4―9月期の当期利益が前年同期から落ち込んだが、経常利益が過去最高を更新した。航空機事業は「良好な事業環境と円安による水ぶくれ」(同社の織田寛明社長)によって経常利益、営業資産残高を伸ばした。 一方、JA三井リースは海外連結子会社で発覚した不正取引事案を受け、4―9月期の決算発表を延期した。「12月13日に公表する計画」(同社)としている。 航空機はメーカーの相次ぐ品質トラブル、ストライキの長期化などを背景に、当面は生産能力が落ち込む見通し。その影響で機材のリース料、売却価格が高まっている。 そのため、10月―25年3月期も航空機事業が各社の業績をけん引しそうだ。東京センチュリーの馬場高一社長は航空機事業について「機体不足を背景に活況を呈している。下期は機体売却益が大きく増加することを見込んでいる」と話す。 オリックスの山本和樹業務執行役員も「市場の需給がタイトになっていることがプラスになるだろう」と影響の見通しを示す。 ただ、メーカーの納期の遅れによって計画的に機材の調達や航空会社へのリース提供ができるか先行きに不透明感が漂っている。将来を見据えた新規発注も難しい状況となっており、メーカーとの交渉力の重要性が増している。