解体家屋の「昭和型板ガラス」再生、思い出の品に 神戸の専門店・古舘さん 希少、皿やランプに
神戸市の老舗ガラス店が能登半島地震で被災して解体される住宅のガラスをリメークし、思い出の品として持ち主に届ける活動に取り組んでいる。昔ながらの家屋には、さまざまな模様が特徴の「昭和型板ガラス」が使われ、現在はほぼ生産されていない。17日は能登町の住宅から回収したガラスで作った皿やランプが届けられ、持ち主が「居間にあったガラスや」と長らく住んだ自宅を懐かしんだ。 【写真】能登の家屋に使われている昭和型板ガラス ●持ち主に贈る リメークに取り組むのは旭屋硝子店(神戸市)の3代目、古舘嘉一さん(55)。知り合いの友安製作所(大阪府八尾市)の森雪尋さん(34)が、能登の家屋に多くの昭和型板ガラスが使われていると知り、思い出の品として生まれ変わらせようと企画した。 昭和型板ガラスは、昭和30、40年代に多く生産され、星の模様が浮かぶ「銀河」や植物の柄の「もみじ」など約70種類ある。日本家屋の窓やガラス戸に使われてきたが、住宅の西洋化などで需要が減り、希少となっている。 古舘さんは約20年前にガラスのリメークを始め、薄さ2ミリのガラスを円形に切り抜き、熱で加工する。レトロな柄が特徴で、角度によっては青や緑色に見えるのも涼しげで人気を集めている。 17日は、7月に公費解体された能登町松波の中根清美さん(64)から許可を得て譲り受けたガラスで皿やランプを作り、仮設住宅で暮らす中根さんに届けた。受け取った中根さんは「これは居間に使われていたガラス。家はなくなったけど、当時を思い出す」と喜んだ。 古舘さんは能登町や七尾市の住宅でガラスを回収した。後日、リメークして持ち主に返す。18日は七尾市矢田郷地区コミュニティセンターで子ども向けのワークショップを行う。 旭屋硝子店は1995年の阪神大震災で被災しており、古舘さんは「同じ被災した地域として、能登の役に立ててうれしい」と話した。