尊富士が横綱の“即電”に猛発奮 照ノ富士から「何で当たらない」胸に刺さり快勝「気合入った」
<大相撲九州場所>◇3日目◇12日◇福岡国際センター 返り入幕の西前頭16枚目・尊富士(25=伊勢ケ浜)が横綱の“金言”で白星を先行させた。十両の輝を鋭い立ち合いからもろ差しで一気に寄り切った。初黒星を喫した前日2日目の取組後、横綱照ノ富士からの“即電”で叱咤(しった)激励されて猛発奮した。今年春場所、110年ぶりの新入幕優勝を飾った実力者がここから盛り返す。琴桜が王鵬に敗れ、3大関の安泰が3日目に崩れた。 ◇ ◇ ◇ もやもやを吹き飛ばす鋭い出足だった。初日、2日目と立ち合いに課題を残した尊富士が、迷いなく踏み込んでもろ差しになると輝を一気に寄り切った。「そういう練習をしてきたんで。まだ完璧ではないけど、前に出る相撲で勝ち切れたのはよかった」と言った。 前日2日目は過去負けなしだった時疾風に屈した。取組後、帰りの車に乗った瞬間に携帯電話が鳴った。横綱照ノ富士からだった。「この2日見てたけど、何で当たらない。当たる稽古をしてきたんだろ」。尊富士は「横綱に見てもらっているんだと、気合入りましたね。(この日の)花道でも横綱がいると思って、土俵に向かいました」。 部屋に戻れば外出せず、その日の取組動画を見直す。あとは「寝るだけっす」。相撲だけに集中する環境に、横綱の“金言”が胸に刺さり、快勝につなげた。 「横綱は今場所いないですけど、部屋から1人でも元気な相撲を取れば前向きな感じで(復帰場所に)出てくれると思う。弟弟子としてしっかりやりたい。勝ち負けじゃなく、自分の相撲をとってそこからの結果。そういう相撲を目指したい」。110年ぶり快挙を飾った今年春場所以来の幕内。横綱の後ろ盾を得て白星を重ねる。【実藤健一】