秩父鉄道の「走るお化け屋敷」で避暑体験!?
小前田発車後に車掌から名前を呼ばれ、お化け屋敷車両では「端のドアにたどり着いたら戻ってください」と指示された。ミッションとはクイズに答えることで、「ちょうちんにクイズが書いてあります」と説明された。先客の中には涙を流しながら出てくる女児もおり、なかなかの迫力のようだ。 暗闇の中でお経の録音が流れており、墓場のような立体模型や、マネキンの首などが飾られている実に不気味な雰囲気だ。歩いているとお化けが「わっ」と言いながら出現し、まるで通勤客のようにつり革を持ちながら立っているお化けもいた。 息子は「歩いているとお化け役に肩をたたかれ、かなり驚いた」と話した。 ちょうちんは車両の端にあり、出題は「鳥居(とりい)はいくつ?」だった。別の場所にあった赤い鳥居は、よく見ると重なっている。よって正解は「二つ」で、正解の商品としてイラストが入ったマスキングテープをくれた。 本当は鳥居を三つ用意し、「3」と答えるとサントリーブランドの冷え冷え(ひえひえ)の清涼飲料を配ってくれればより気が利いていたのだが…。
全ての参加者が体験後、お化けたちが最後尾の車両にやってきた。まるでファッションショーのように通路を練り歩き、参加者との記念撮影にも気軽に応じてくれるなどサービス精神満点だ。中には勢い余り、怖がる女児の隣に座るお化けもいた。 お化けたちは真ん中の車両へ引き返していき、熊谷到着後にホームでお化けが出てくるのを待ち伏せする子どももいた。ビリー・ジョエルの曲のタイトルのように「素顔のままで」車外に出てくるのかどうか私も気になった。 しかしながら考えを改めて、息子とともに足早に立ち去ることにした。「プライバシーの尊重」はお化けにも必要なのだから―。 ☆共同通信・大塚圭一郎 共同通信社経済部次長。優れた鉄道旅行を選ぶ賞「鉄旅オブザイヤー」の審査員を2013年度から務めており、日本や駐在したアメリカなどでユニークな鉄道旅行に積極的に参加してきた。