斎藤知事の支持者=“陰謀論者”? アメリカと同じ“分断”が日本でも起きている? 斎藤知事再選が明らかにした“日本の現状”
「斎藤氏=ヒーロー」「マスコミ=悪」の構図ができてしまった
「斎藤氏の支持者の中には政策が良いから応援している人もたくさんおり、陰謀論の人たちばかりではないが、YouTubeを流して運動している人たちの一部には“陰謀論的なロジック”が入っていた。陰謀論が選挙に一定の役割を果たしたのではないかと考えている」 田中教授はネットがこれからの選挙を変えていくのは間違いないが、今回はネット上で「斎藤氏=ヒーロー」「マスコミ=悪」の構図ができてしまい異例の選挙になったと指摘する。 「“斎藤氏ははめられた”という謀略と陰謀論のような形で結果がひっくり返った。これは非常に異例であり要注意だ」 多くの情報が飛び交う中、どう選択していけばよいのだろうか? 「ネットの投稿に嘘が多いことは分かっているので、情報の裏を取ることが重要だ。『この記者、この会社からの情報』とはっきりわかっている情報には価値がある」
“トランプ現象”と重なる点が多い
田中教授の調査結果について、ダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介氏は「非常に興味深い調査結果だが、同時に取り扱い注意でもある」と述べた。 「アンチ斎藤派の人が気持ち良くなるような調査結果だが、このデータだけをもって『斎藤氏の支援者は陰謀論にダマされやすい情報弱者だ』と捉えるのは短絡的だ。もちろん中には、陰謀論を信じている人もいるだろう。ただ、アンケートによれば稲村氏の支持者の16.9%も陰謀論を信じている。陰謀論と関係なく、政策を見て斎藤氏を支持した人もたくさんいるはず。こうした点を念頭に置いた上で、淡々とデータを読み解く姿勢が大切だ」 さらに神庭氏は「今回の兵庫県知事選は、アメリカ大統領選の“トランプ現象”と重なる点が多い」と指摘した。 「斎藤氏の支持者による根深いメディア不信は、トランプ氏の支持者とも共通する。テレビや新聞は斎藤氏の告発文書問題を集中的に報じたが、共同通信の調査によれば投票でこの点を重視した人は9%しかいなかった。既存メディアはアジェンダ・セッティング、争点設定の段階で失敗していた可能性がある。そしてこの穴を埋めるような形で、『たった1人で立ち上がった斎藤さん』という物語がSNSやYouTube動画を通じて形成されていった」 「『既得権益を引き剥がしたい』というリセット願望も、トランプ現象に通じるものがある。『SDGsや多様性よりも、まずは俺たち・私たちの生活、メシの種をどうにかしてくれ』という切実な願いが、反リベラル的な動きとして結集した面もあったのではないか。海の向こうではイーロン・マスク氏が有権者に毎日1億5000万円を配り、兵庫県知事選ではNHK党の立花孝志党首が自分の当選を目的とせずに出馬して、斎藤氏の応援を買って出た。選挙制度がハッキングされた点にも類似性を感じる」 (『ABEMAヒルズ』より)
ABEMA TIMES編集部