<高校野球>センバツ総括 完封増え、「打高投低」に歯止め
3日閉幕した第91回選抜高校野球大会は、準々決勝の3試合を含む8試合で1点差と拮抗(きっこう)した試合が多かった。大会通算安打数は531で、616の大会記録を樹立した前回大会(35試合)から減り、総得点も331から246に減少。過去2大会で顕著だった「打高投低」の傾向に歯止めがかかった。 【平成最後のセンバツ】決勝の熱闘を写真特集で 優勝した東邦は投打のバランスが良かった。打線では4番・熊田、5、6番を務めた長屋、主に7番の河合が打率4割超と好調で、どこからでも点が取れた。今大会出場校中最多の11盗塁と足も絡め、全5試合で先行逃げ切りを決めた。投手陣は右腕・石川が全5試合に先発し、1完封を含む3完投。打たせて取る投球で防御率0.90と安定していた。大胆な守備シフトがはまることも再三あり、データを踏まえた好守も光った。 準優勝の習志野はエース右腕・飯塚が救援して相手打線を封じ、終盤に逆転するパターンが目立った。攻撃では各打者がバットを短く持って食らいつき、機動力や小技も多用。2回戦で星稜の151キロ右腕・奥川を攻略するなど、粘り強い戦いぶりで前評判の低さを覆した。 前回大会で2人だった完封が今大会では5人に増えた。その一方で習志野や4強の明豊などは全試合継投。2回戦進出16校のうち8校が1回戦と2回戦で先発投手を変えていた。継投を前提にエースを先発させない戦い方が、今後増えていくのか注視したい。 大会通算四死球数は222で、前回大会の318から大幅に減った。好投手が活躍した一方、3本塁打の石川(東邦)、2本塁打の来田(明石商)や野村(山梨学院)らを除いて目立つ打者が少なかった。試合を通して沈黙した打線もあり、スイングの力強さだけでなく、試合中に打席を重ねての対応力や修正力を向上させる必要がある。【安田光高】