大学受験を控えるわが子をどう支える? 不安定になりがちな心をフォローする5つの方法
高校1年、2年と何の問題もなく勉強を進めてきたような子どもでも、3年生になり大学受験が近づくにつれ不安や焦りが生じ、モチベーションを持続することが難しくなることがあります。特に夏休みを過ぎたころから精神的に不安定になるケースはよくあり、子どもの心の変化に気を配ることが重要です。 なかには、勉強が全く手につかなくなり、最悪の場合には「受験をしない」と言い出す子どもも出てきます。そうした気持ちの変化が起こるのはなぜなのか、また、受験直前の時期にはほかにどのような問題が出てくるのか――その具体的な中身を取り上げながら、大学受験本番に向けて保護者にできる最後のフォローを紹介します。(鈴木優志:大学受験専門AXIV ACADEMY 代表) 【新課程】2025年共通テストの時間割を見てみる
焦りと不安。受験生の気持ちは変化していく
大学受験が近づくにつれて、受験生の心のなかでは焦りや不安が大きくなってきます。そうした気持ちの変化を受け止めてやわらげてあげる、心を落ち着かせてあげることが、受験生をもつ親御さんには求められます。では、心身ともにベストな状態で試験日を迎えるために、どのような心構えや配慮をもって受験生に接すればよいのでしょうか。 まず受験生の気持ちは、成績によって、とりわけ合格可能性の判断材料となる模試の点数によって大きく左右されます。勉強を始めたばかりのころは、やる気に満ちていますし、さしたる悩みも不安もありませんでした。挽回が可能な時期には、余計な不安や焦りといったネガティブな気持ちは湧いてこないものです。そして努力したことで自信を得た子どもは、何の憂いも悩みもないまま受験の日を迎えます。 しかし、勉強してもなかなか成績に結びつかない子ども、思うように模試の点数がとれない子どもは、しだいに心の中に不安や焦りといったネガティブな気持ちが生まれ始めます。
「模試を受けたくない」と投げ出してしまう子どもも
模試で思うように結果が出ない状態が続くと、模試の点数や偏差値の開示を拒否したり、模試の話や志望校の話になると不機嫌になったりする子どもも出てきます。「もういやだ、これ以上模試を受けたくない」などと言い出す受験生もいます。 とくに3年生に、そうした拒否反応を示す傾向がみられます。確かに大学受験が近づくにつれて模試の数は多くなり、ひと月で2回受けるようなこともあります。模試を受けるのがつらくなることもあるでしょう。 子どもがそうした“模試疲れ”を感じているようであれば、模試を受ける回数を減らすようすすめてみてもよいでしょう。受験すると決めていた模試を休むと癖になることもあるのでよくありませんが、申し込む回数を減らしてみることで、またやる気を取り戻すこともあります。 しかし、それでも模試に対する拒絶感がなくならないようであれば状況はより深刻です。「やっても結果が出ないからやりたくない」と完全に自信を失ってしまっている可能性があります。 特に3年生の秋以降は、模試の判定や過去問の点数と、受験までの残り期間を考えることで、志望校に合格できるかどうかがわかるようになってきます。現実的に志望校に合格するのは難しいとわかったときのダメージは、受験生にとって非常に大きなものです。知識を入れ始め、成長を実感できた初期と異なり、復習の時間が多くなって成長が鈍化し、苦しくなることも夏休み後に多くなります。 最悪の場合、勉強をやめて高校にも行かなくなり、大学受験を放棄するおそれもあります。 私が受験生から受ける相談も、多くが成績に関するものです。しかしこればかりは、勉強の手を止めて悩んでいても改善されることはありません。むしろ悪化し続けます。試行錯誤しながらでも勉強を続けて、成績を上げることでしか解決できない問題です。 解決策があるとすれば、得意な科目を使って勝負できる大学に変更するか、勉強のやり方を改善するかです。 この時期に成績が上がらないという問題に直面した場合は、自力で解決するよりも、知識をもっている人や塾・予備校に、打開策を聞くのがよいでしょう。今までの学習状況を正確に把握し、幅広い知識から解決策を模索する必要があるからです。