AI人材、米大手では年俸3000万円以上は普通。不況知らずで加速する「AIエンジニア争奪戦」。
5. エシカル(倫理的)なAI開発、社会におけるインパクトや政治的信条
仕事の社会的影響を懸念する人材にとっては、責任あるAI開発と倫理的な配慮を優先する組織が魅力的に映ることでしょう。例えば、グーグル社員が軍事兵器などの開発に自分たちのAIが使われることを懸念して抗議活動を起こし、米国防総省の「Project Maven」が頓挫した出来事は記憶に新しく、近年では責任あるAIの開発や倫理観、透明性を重視する傾向が強まっています。 これに関連して、イーロンマスクが控えめに支持をしているカリフォルニア州の新しい法案「SB 1047」に対する各方面のスタンスをご紹介します。 2024年8月28日、カリフォルニア州議会は、人工知能(AI)の規制に関する新たな法案「SB 1047」を圧倒的多数で可決しました。この法案は、AI技術の安全性テストや定期的な監査を義務付け、深刻な損害(大量殺傷事件や5億ドル以上のサイバーセキュリティ事件など)を引き起こした場合に、AI企業に対して法的責任を追及することができる内容です。大規模な損害のみが取り扱われているものの、AI企業に対して損害の法的責任追及ができることを明示しており、AI企業にとっては重大な影響を及ぼす法案です。 この法案に対し、OpenAI、ナンシー・ペロシ元下院議長、米国商工会議所、大手テック業界団体などは、イノベーションの足枷になること等を理由に、「SB 1047」に拒否権を発動するようカリフォルニア知事のニューサム氏に働きかけているといいます。他方、イーロン・マスクやAnthropicは控えめに支持する姿勢を示しています。また、ヨシュア・ベンジオやジェフリー・ヒントンといった著名なAI研究者たちは「SB 1047」を全面的に支持しており、関係各所によるスタンスの違いが明確になっています。
石角友愛