【独自】維新現職市議が決意の告発!大阪府議会議長から受けた公認取り消し圧力、恫喝、外見非難…兵庫県・斎藤知事の“パワハラ問題”根源は「維新の傲慢体質にある」
パワハラ疑惑の渦中にいる兵庫県の斎藤元彦知事を当選以来、支えてきたのが大阪維新の会だ。その大阪維新の会もパワハラに怒る世論には抗いきれなかったか、9月9日、斎藤知事の辞職と出直しを求める申し入れ書を提出した。だが、その陰で、大阪維新の会所属の大阪府議会議長にパワハラを受け、今も苦しんでいる女性市議がいる。今回、本誌は「斎藤知事のパワハラ問題も、維新の傲慢体質が根源ですよ。これが変わらなければ、有権者に見放される」と訴える彼女から、120分にわたって話を聞いた。 【写真あり】維新が支える斎藤元彦知事の白亜の実家 大阪維新の会は、2023年5月から、党内でのハラスメント調査を実施してきた。これまで報じられてきたように、大阪維新の会大阪府議団で代表を務めていた男性府議が、女性市議に対してセクハラまがいの言動を繰り返し、代表を辞任した事件が調査実施のきっかけになっている。 2023年12月に発表された調査結果によると、14件の申告のうち5件がハラスメントとして認定されている。そして、加害者の5人には口頭で厳重注意処分が下されたことが明らかになった。しかし、それぞれのハラスメントの具体的内容は公表されなかった。 本誌取材に応じた柏原市議Aさんも、自身が遭った党幹部からの被害をこのハラスメント調査に申し出ていた。 「2021年の市議選で、私は2期目をかけて出馬していました。すると大阪維新の会の、私が所属する支部の支部長であり、現大阪府議会議長の中谷恭典氏が、選挙期間中にもかかわらず突然党本部に『Aを公認取り消しにする』と訴え出たそうです。 じつは中谷議長の長女が、私たちと同じ選挙区から無所属で市議選に出馬したのです。娘が当選すれば、議員定数は変わりませんから、当然一人落選してもらわないといけない。そこで、中谷議長は私を大阪維新の会から除名することで落選させたかったのです。選挙期間中はずっと、支部長は選挙区内で私のことを執拗に『あいつはどうなってもいいんだ』と悪く言って回っていました。さらに大阪維新の会の支部長であるにもかかわらず、選挙戦は長女につきっきりでした」 結局、Aさんは議長からの除名攻撃を跳ね返し、市議に当選した。だが、Aさんへのパワハラが止むことはなかった。 「ただでさえ選挙戦は、肉体的にも精神的にも大変な戦いです。それなのに身内であるはずの党の支部長から執拗な攻撃を受け、精神的に追い詰められました。私は体調を崩し、心療内科を受診せざるを得ませんでした。めまいや動悸も続き、消化器内科にも通院しました。今でも薬に頼らないといけません」 じつはAさんが受けたパワハラは、これだけではなかった。2018年ごろからすでにパワハラを受けていたという。 「私は市議1期目の時にがんであることがわかりました。このときも、支部長は私の支援者に『あいつは議員辞職させる』などと言って回っていたのです。翌年にあった統一地方選では、抗がん剤と放射線治療でかなり体調が悪く『歩くのは少し辛いです』と申し出た私に、支部長は『這ってでも行け』と命じました。なんてひどい党なんだと涙がこぼれましたよ。 こうした言動は支部長だけではなく、柏原市長である冨宅(ふけ)正浩氏からもされました。抗がん剤治療で脱毛した私が髪を短くしたのを見て、笑い、辛くてしんどい私の顔を見て『整形したの?』などと言ってくるんです」 市長からも、厳しい叱責を受けることがあったという。 「私が1期目の選挙戦で、連絡事項があって、市長に電話をしたことがありました。すると市長は『俺は市長や』と怒って、すぐに電話を切ってしまった。なぜ怒られたのか意味が分かりませんでしたが、のちに私が支援者といる場で、市長は早朝の連絡について『何時に電話してきてんねん!』と怒鳴ってきて、やっと理由がわかったのです。回りの支援者が『大丈夫なの?』と心配するほど大声でした」 Aさんは、2人から受けたこれらのパワハラを、大阪維新のハラスメント調査のヒアリングで訴えたという。 「1日だけでしたが、ヒアリングがあり、その場で訴えました。ところが、それから何の連絡もなく、パワハラに認定されたかどうかもわからないのです」 Aさんは、このままだと維新はダメになってしまうと危惧する。 「兵庫県の斎藤知事のパワハラ問題を見ていても、大阪維新のなかでは『報じられている何がパワハラなのかわからない』という声が聞かれます。私たちがマヒしてしまっているのかもしれません。大阪維新は、ハラスメントの研修会も数回実施していますが、形骸化していて、はたしてやる意味があるのかわかりません。 研修は、Web形式なので参加していない党員も多くいます。この“研修”で維新が何か変わったかというとわかりません。 そもそも私たちが声を上げようとすると、『誰のおかげで議員になれたんや』と言われます。私たち議員は、パワハラなどを受けても、党に迷惑がかかると思って声を上げづらいのが現状です。でも、声を上げないと変わらない。おごり高ぶっては何も見えなくなります」 パワハラ問題に詳しい東京法律事務所の笹山尚人弁護士は、A市議が受けたパワハラについて次のように話す。 「A市議の支援者に対し、大阪維新の会の支部長が『Aを公認取り消しにする』などと発言することは、A市議の政治生命にかかわる問題で、程度を超えた言動だと言わざるを得ません。 発言が裁判で損害賠償を請求するほどのものだったのかどうかはわかりませんが、そうした言動が、その人が立場を利用して言わなくてはいけないことなのか、その必要性があるのかが問われます。必要な程度を超える発言だったり、何でこんなことで怒られるのかわからず怒られたりして人格権侵害が起こっているならば問題です。 私個人としては、大阪維新の会の関係者の発言は、決めつけや偏見に基づいているのではないか、という疑念をよく抱いていました。言われたほうがきついと思う発言をしてきても、その“切れの良さ”が維新のウリだったのかもしれません。しかし、そうした勢いも賞味期限が切れてきたのではないか、と危惧しています」 こうした声に維新はどうこたえるのか。 本誌が中谷恭典大阪府議会議長に質問状を送付すると、次のような回答が届いた。 〈2021年の柏原市議選におけるA市議とのやり取りについては大阪維新の会本部を通して双方の主張を聞き取り頂いた上で必要な対応をされたと認識しております。引き続き大阪維新の会一丸となり前に進むとともに、ハラスメント撲滅に向けて取り組みを進めて参ります〉 この文言に加え〈ご質問には当方の名誉を徒に貶める内容も記載されており、当該趣旨で発信された場合には弁護士等通し必要な措置を講じさせて頂く旨、附言します〉と書き添えられていた。 冨宅正浩市長にも質問状を送付すると、代理人弁護士名で〈当方はそのような発言をした記憶はありません〉とし、大阪維新の会のハラスメント対策については〈党として、十分な研修を行っていると考えておりますが、今後とも法令遵守を重視して業務を行ってまいる所存です〉と回答した。また、〈本件報道がなされた場合は、事実無根であり、根拠なき報道として法的手続きを講じさせていただきます〉と回答した。 さらに、大阪維新の会からは〈引き続きハラスメント撲滅に向けて党内関係者の意識を醸成してまいります。党内関係者からのご意見いただきながら研修内容なども随時更新していきたいと考えております。引き続きハラスメント撲滅に向けて党内関係者の意識を醸成してまいります〉と回答が返ってきた。 改めてAさんはこう話す。 「大阪維新の会は、私が知る当初から、とにかく体力重視の体育会系体質の党でした。それが党の魅力でもありました。 最近はだいぶ改善されたところはありますが、まだ党内のハラスメントに苦しんでいる関係者はいると推察します。『パワハラ問題に真摯に向き合っていかないと維新は変われない!』と思い今回、声をあげました。まず、自分たちのハラスメント問題を解決しなければ、子供たちのいじめ問題に向き合うこともできません。次世代の子供たちにツケを回さないと訴えている維新が、このような、見て見ぬふりをする手本になっていいのでしょうか」 世間をにぎわせた斎藤知事のパワハラ疑惑は、彼の失職だけで幕を下ろすわけではない。この問題の根源たる大阪維新の会の体質を変えない限り、“第二の斎藤”が現われるかもしれないのだ――。