グラフィットが「四輪」特定小型原付のプロトタイプを公開! “リーンステア制御”の実力やいかに?
電動パーソナルモビリティの開発・販売をワンストップで手掛けるglafit(グラフィット)は6月24日、「特定小型原付」のカテゴリーに収まる四輪車のプロトタイプを公開した。 【写真を見る】人が乗ったらどんな感じ? これがグラフィットの四輪特定小型原付だ!
四輪特定小型原付にリーンステア制御が必要な理由とは?
特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)は2023年7月1日に新設された電動モビリティ向けの車両区分。16歳以上であれば運転免許不要で運転でき、ヘルメットの着用も自転車並みの“努力義務”とされている。特定小型原付は、車体を長さ190cm以下、幅60cm以下に収め、原動機は定格出力を0.60kW以下の電動機とすることが条件となる。そのスタイルは特に指定はなく、AT機構が備えられていれば2輪や3輪、あるいは4輪でも構わない。 また一般道を走行する場合の最高速度は20km/hまでとされる一方で、歩行者モードに切り替えれば最高6km/h以下で歩道を走ることも可能だ。この歩行者モードのルールは、高齢者用モビリティとして提供されている「シニアカー」を意識して用意されたといわれている。ただし、特定小型原付の車体には緑色の最高速度表示灯の装備が義務付けられ、最高速度20km/hモードでは緑色点灯とし、歩行者モードでは緑色点滅で表示することも条件となる。 今回、グラフィットが発表した四輪車は、まさにこの特定小型原付の条件を満たしつつ(全長は160cm程度、重量は100kg程度)、免許を返納した高齢者や、運転に不慣れな若者でも安全に運転できるようにしたことが最大のポイントとなる。その実現のために搭載したのが、アイシンが開発した「リーンステア制御」で、この技術により幅が狭い四輪の特定小型原付であっても、安定した走行を実現できたという。 グラフィット代表取締役社長CEOの鳴海禎造氏は、新製品を発表するたびに記者たちから「三輪や四輪は出さないのか?」という質問が繰り返されていたと明かす。これは「三輪や四輪なら二輪と違って転倒しにくく、安定して走行できるというイメージがもたれているからと思うが、実はこの認識には大きな間違いがある」と鳴海社長は話す。 平らな場所でまっすぐ走行するだけなら三輪や四輪は安定していると言えるが、実は認識すべきは特定小型原付の“幅60cm以下”という部分にあるという。この規格内で四輪を作ればトレッド幅は狭い上に重心はどうしても高くなりがちだ。そのため、仮に片輪だけが段差に乗り上げれば、簡単に転倒してしまう危険性をはらんでいるというわけだ。 「リーンステア制御」は、そうした状況下で大きな効果を発揮する画期的な技術として誕生した。