米国メジャーリーグサッカーで日本人所属チームが対決!
1996年に発足したMLSは4大プロスポーツに比べて歴史が浅く、欧州のような大型放映権収入が望めない背景から、まず、地道なチケット販売に力を注いできた。専用スタジアムとマーケティングの優秀な人材確保によって着実に成長した平均観客動員数は、1試合平均約19,000人に。これは、世界のサッカーリーグの第8位で、NBA、NHLを凌ぎ、米国のプロスポーツでも第3位に入る。全スタジアムの観客席の90%が売れている計算だ。2010年のワールド杯で米国代表が16強入りしたことも、国内の人気に火をつけた。収益が上がるプレーオフ制度を採用し、サラリーキャップ制で選手年俸を抑える一方、入れ替え戦がないため、投資リスクは低い。リーグの経営基盤が軌道に乗ったところで、07年からは1球団につき3枠まで球団が独自に年俸を支払う特別指定選手制度を導入。この結果、ベッカムなどの大物選手がMLSに移籍するようになった。 この日、レッドブルズの先制ゴールをアシストしたのは、2010年にMLS入りした元仏代表のティエリ・アンリだし、レボリューションのMFジョーンズは米国代表でプレーしたワールド杯後に移籍し、後半戦の反撃の原動力となった。アンリは、今季限りでの引退も囁かれているが、彼らに続くビッグネームのMLS参戦は後を絶たない。「アンリのような世界のトップと一緒にプレーして、影響を受けたことは計り知れない」と木村が言えば、ベテランの小林も「ジョーンズのような選手が凄く体を張ってプレーしていると、皆が俺も行かなきゃっていうムードになる。存在感がチームを変えていくんです」。大物選手の加入が若い選手の手本となり、相乗効果でチームのレベルが上昇しているのは間違いないようだ。 リーグは来季2球団を増設。ヤンキースタジアムを本拠地とするNYシティFCは、スペイン代表のダビド・ビジャ、元英国代表フランク・ランパードとの契約を発表。オーランドシティFCには元ブラジル代表カカが加入する。2017年のリーグ拡張で参入するロサンゼルスのチームには、ドジャーズのオーナーでもある元NBAのスーパースター、マジック・ジョンソンが共同オーナーに名前を連ねており、豊富な資金源を背景に益々著名選手の参入に拍車が掛かる可能性は高い。 サッカーの本場欧州イタリア1部リーグ(セリエA)で、ACミランの本田圭佑とインテル・ミラノの長友佑都が今月23日のダービーマッチで激突。伝統の一戦で初の日本人対決が実現したが、今後は、アメリカで日本人対決が増えるかもしれない。 「今シーズン、プレーしていて相当面白かったというか、自分のサッカー人生の中でも特に色んな経験ができたシーズンになった。個々の当たりが強く、身体能力で勝てない中、どうすれば、自分がチームの中で機能するか、練習の中からみせていき、それが、チームに浸透していった。まさか、ここまでやれるとは思わなかったけど、いいクラブに来たなと思います。あと1試合。なんとか頂点に立てるように頑張ってきます。そして来年もまた、アメリカでプレーできたらいいなと思う」と小林。ウェスタンカンファレンス決勝戦のセカンドレッグ(きょう30日=日本時間12月1日)に行われるシアトルとLAの勝者と戦うMLS杯で、米国参戦1年目の大きな花を咲かせるつもりだ。