<プロ野球>新人選手はどこまで戦力になっているか
球宴が終わり、いよいよ後半戦がスタートした。開幕1軍に登録されたルーキーの“その後”は、どうなったのだろうか。開幕時点で、新人の一軍登録はセ・リーグ10人(広島の大瀬良は、先発登板日の関係で登録されていないので、実質11人)、パ・リーグ9人(楽天の松井裕樹が先発登板日の関係で登録されていないので、実質10人)。後半戦、最後の試合でベンチ入りしていたのは、セは8人で、パは3人。セは、ローテーションの関係で阪神の岩崎、広島の大瀬良、九里の3人が登録を外されていたので、実質は開幕時と同じ11人。パの方も、ロッテの石川とオリックスの東明が外れていたので実質は5人だ。ロッテ勢は、開幕戦で4番に入った“アジャ”、井上晴哉(日本生命)、捕手の吉田裕太(立正大)、吉原正平(日本生命)らの顔がなく、日本ハムも岡大海(明大)、中継ぎ左腕として期待された金平将至(東海理化)の2軍での調整が続いている。 ■阪神2位の原動力となったフレッシュコンビ 開幕時に1軍メンバー漏れしたが、その後サプライズを起こしている代表格は、阪神の岩崎優(6位、国士舘大)だろう。開幕第5戦目の中日に先発抜擢されると、そのままローテーションに入って、12試合に投げて防御率3.64、3勝4敗と勝ち星に恵まれていないが、同じくルーキーで、6本塁打を放っている梅野隆太郎(4位、福岡大)とのフレッシュなバッテリーは、阪神が2位の位置につけている原動力となっている。21日に巨人戦では、その梅野が決勝タイムリーを放った。 阪神DCで評論家の掛布雅之氏は「岩崎と梅野という2人の新戦力が阪神の救世主的な存在。左腕の岩崎は、崩れずにゲームを作る。大谷や藤浪のようなスピードボールはないが独特の間があって打者を戸惑わせている。その間を作っているのは右足のステップにある。ポンと踏み込んでくればタイミングも取りやすいが、踵からつま先と、間を作ってステップしてくるので、そこでタイミングを狂わせている。梅野は思い切りのいいバッティングとインサイドを怖がらず使う強気のリードが特徴。バットが体に巻きつくように使え、ヘッドがボールに最短距離で入っていくので、右方向にも強い打球が打てる。ひとつのコースに2つほどヒッティングポイントを持っているように見える。肩に難点があってドラフトで他球団は見送ったらしいが、スローイングにも問題はない」と評価している。 ■広島 新人2投手は大竹寛の穴を埋める 広島の大瀬良大地(1位、九州共立大)は15試合に先発して6勝4敗、九里亜蓮(2位、亜大)も15試合で2勝5敗と、大竹寛がFAで抜けた穴を十分に埋めているが、いずれも防御率は4点台と前半戦の終盤には崩れるケースが目立った。掛布氏は、「大瀬良は開幕当初に比べてピッチングがおとなしくなった。怖さを知って自分も持ち味を忘れているように見えて少し寂しさを感じる」と見ている。怖さとは制球であり、持ち味とは、その球威。ここをどう乗り越えるかがポイントだろう。 横浜DeNAは、柿田裕太(1位、日本生命)、平田真吾(2位、本田熊本)、三上朋也(4位、ENEOS)の即戦力投手を3人開幕一軍に入れていたが、立派な戦力になったのはクローザーに抜擢された三上だけ。また育成ドラフト2位から這い上がった萬谷康平(ミキハウス)も、中継ぎとしてスタンバイ。中日は、春季キャンプで一番はじめに兼任監督の谷繁がブルペンで受けた変則タイプの又吉克樹が中継ぎとしてフル回転の活躍をしている。