病気の兆候がわかる便からのSOS!ノールック流しは絶対NG、おすすめは「排便日誌」
便秘の放置は危険!命に関わるリスクも
では便秘は身体にどんな悪影響があるのか。 「便通が悪いと悪玉菌が増えて腸内環境が悪くなるので、がんや他の病気にも罹りやすくなります。心臓や脳、腎臓の病気、大腸がんのリスクも上がるので要注意です」 たとえ大きな病気を発症しなくても、便秘放置の行く末には負の連鎖が待ち構える。 「QOL(生活の質)の低下です。膨満感や腹痛などの不快な症状があれば生活の質が落ちますし、やがて家から出なくなり、うつ症状にもなりかねません。 50代以降、さらに年を重ねていったときに排便をコントロールできていないと、あらゆるリスクが高まります。たかが便秘とはいえないのです」 正しい排便のための第一歩として、藤森先生がおすすめするのは、排便日誌。 「便形状チェックを参考に、形、色、量を見て毎日記入します。食事や水分、下剤使用も記入するといいでしょう。 記録して自分の排便状態を把握することで、自分に適した食べ物や、正しい排便ペースもわかってきます。ネットなどでダウンロードできますので、ぜひ始めてほしいですね」 定期的な検診も必須だ。 「症状がないから大丈夫、ではなく、症状がない段階で、目に見えない変化を発見できるからこそ意味があるんです。定期的に検診を受けていれば、大腸がんに命を奪われることはまずありません。特に50歳以降の方は、必ず検診を受けましょう」
知っておきたいうんちの『3のルール』
実はそれ、便秘じゃないかも!? 1)排便は1日3回から1週間に3回 2)1回の排便は3分以内 3)いきむのは3秒以内(うんちを出すのは12秒で) 4)温水洗浄便座は3秒程度まで(弱く) 便秘は良くないということは理解できたものの、「そもそも正しい排便を理解できていない人も非常に多い」と藤森先生。 「まず便の中身はほとんどが水分ですから、正しい状態を保つには水分をしっかりとることが非常に大事です。夏場はみなさん意識して水分をとっていると思いますが、急に寒くなったりすると、水分摂取量が減るため、便秘の患者さんが増えるんです。 また、高齢の方は喉の渇きを自覚しづらくなるため、水分をあまりとらないことで便秘になりやすいといえます」 さらに、自分は便秘だと自覚している人も、その判断基準について一度見直したほうがよさそうだ。 「メディアなどの影響で、毎日排便がないと便秘だと思っている方が多いですが、決してそうではありません。 結果的に毎日便が出るような生活習慣や食事をすることが大事なのであって、刺激の強い薬を飲んだりして無理に毎日出すことが健康的な排便ではないんです」 では、どんな状態が正しい排便なのか。 「気持ちよくスッキリ出せれば1週間に3回でもいいんです。逆に、毎日出ていても、気持ちよく出せなかったらいい状態とはいえません。排便の頻度やかける時間など、“3のルール”としてまとめたので、ぜひ参考にしてください」 教えてくれたのは……藤森正彦先生●呉市医師会病院 排便ケアチームPOOP代表。大腸・肛門外科医。2018年より他職種で「POOP」を立ち上げ、地域で排便についての啓発を行っている。著書に『腸、いい感じ』(南々社)がある。 取材・文/當間優子