「第2回高校生ecoアイデアコンテスト」で香川県立多度津高等学校の「森林木材の活用」がグランプリ受賞。県産材の積極的な利用や消費の啓発に取り組む
グランプリを獲得した「陸の豊かさも守ろう」は人工林で行われている森林見学会で香川県の林業の状況を目の当たりにした高校生たちから生まれたアイデア。プレゼンでは「香川県の山では多くのヒノキが植林されているものの、供給量に対し需要が少なく、資源が余っている状況。CO2吸収量や山間地域活性化という観点からも“買って”“使って”“売れる”という森林資源の循環を進めていく必要がある」と説明。そのうえで地域イベントで使うためのマルシェ、瀬戸内海を臨む場所へのデッキの制作、ワークショップといった活動で県産材の積極的な利用や消費の啓発を行っていることを紹介。来年度は企業と協力してのCLTを使用したベンチを制作する。動画では「専門高校に通う私たちだからこそできる取り組みで環境活動に取り組んでいく」と締めくくった。
その後の補足説明では「ワークショップを実施することで地域の人県産材に触れることが増えている」と活動の広がりを実感していることを明かし、デッキを使用した祭りの様子を紹介する中で「地域の皆さんが楽しんで使用できる場所をもっと増やしていきたい。このように地元の皆さんに楽しみながら木に触れていただき、興味を持っていただくところから始めている。これからもこのような活動を続けていく」と力強く語った。 これには木幡氏が「動画が素晴らしかった。唯一ロケの動画でプレゼンテーションされている。その地域の良さが動画だとしっかり伝わる。動画のレベルが高い。その結果として伝わってくるものも大きい。実際に自分たちも作っているというところがすごい」と絶賛した。 準グランプリは千葉県の晃華学園高等学校の「珊瑚礁の再生」、審査員特別賞が青森県立名久井農業高等学校の「バーミキュライトによる水質浄化と農業利用」に送られた。
表彰式後、審査員を務めた所千晴早稲田大学理工学術院教授は「たくさんの素晴らしいアイデアに接することができてたくさんの刺激をいただいた。大学生も顔負けの技術的に踏み込んだ、十分、論文を書けそうないろいろな提案があったことはうれしく思った。これを社会実装されていくとなるといろいろなハードルがある。皆さんのアイデアが実現するように、これからも周りの方々に相談しながら、社会と接点を持ちながら、ぜひ形にして行っていただきたい」、阿部氏は「皆さんに考えていただいたアイデアはこれからどんどん膨らませていっていただいて、社会実装していくところまで、皆さんが高校を卒業しても高めていっていただければ。今日が終わりではなく、今日を始まりとして、次の展開にかかっていただければ」、藤井麻野デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員は「私が勤めているデロイトではコレクティブインパクトというものを大事にしている。社会課題などを解決しようとすると、自分たちだけではできないことが多い。いろいろな企業とか自治体、NGOとかいろいろなものとつながっていくことでより大きな渦を作って、活動が広がっていくのかなと思っている。ぜひ今回のことをきっかけにして、活動をより発展的なものにしてくれれば」、木幡氏は「私たちでは思いつかないような高校生ならではの視点のアイデアやネーミングだった。皆さんの土地土地の風景とかも一緒に伝えていただいたり、活動の風景をスマホで撮ってつないだりというのは伝える手段としてとても効果的だと思う。そういった使い方や、自分の顔も出してほしいと思った」などとそれぞれの分野からの視点で総評。 また木幡氏は「私はフジテレビで『フューチャーランナーズ』というSDGsの課題解決に取り組み人を紹介する番組をやっています。紹介した中に高校生もたくさんいるので、今日いただいたアイデアの中で、番組に皆さんもフィーチャーランナーズとして出ていただけたらうれしいなと思いました」とも続けた。 そして最後にピースコミュニケーション財団の一木広治代表理事が「いろいろなアイデアをありがとうございます。今、日本は国力が落ちて、スタートアップなど若者の力を育てなければいけない時代になっている。そういう中で皆さんにはこれからも頑張ってほしい。そしてこのコンテストは来年以降も続いていくので、これからも参加していただきたい。今日、受賞された方、されなかった方といますが、本当に素晴らしいアイデアを聞かせていただきありがとうございました」とこの日のコンテストを総括した。