小池都政、求められる成果 少子化・地震対策など課題は山積 3選確実に
7日に投開票された東京都知事選は小池百合子氏(71)の3選が確実となった。多くの有権者が2期8年を評価したが、急激な少子化の進行や首都直下地震を想定した防災対策、経済対策など首都を取り巻く課題は山積する。3期目の小池都政で求められているのは具体的な成果だ。(大泉晋之助) 【表で見る】小池百合子都政2期8年の実績と3期目の公約 3期目の公約に目新しさやサプライズはなかった。「首都防衛」を掲げて少子化や災害、外国の脅威などから首都を守るとし、政策は各分野を横断。その中に「無痛分娩への助成」「保育無償化を第1子まで拡大」といった具体的な支援内容を盛り込むことで、他候補との差別化を図った。 際立つのは「8年でかなり具体的な政策を進めた。3期目の公約はその隙間を埋める内容」(都幹部)という2期8年を踏まえた手堅さ。選挙戦中盤以降、連日発表した追加公約も、担い手不足にあえぐ中小企業の事業承継支援など、重要だが「渋い政策」(小池氏側近)だった。 今回の選挙戦で見えてきたのは、そうした手堅さを評価する冷静な支持層の存在。国政での〝政治とカネ〟や〝政治屋の一掃〟といったある種派手なキーワードを持ち出した他陣営を制した要因はそこにある。 平成28年の都知事初当選や翌年の都議選で都民ファーストの会を大勝に導いた際に〝小池劇場〟と称された熱狂、あるいは新型コロナウイルスという未知の脅威の中での4年前の信任とは、支持の性質がまったく異なる。裏を返せば、小池都政は今後、冷静な支持層による厳しい視線にさらされるということだ。 例えば、「お金のかからない子育て」を目指し、「シームレス(境目のない)な支援を進めてきた」と誇る小池氏。確かに、妊娠、出産、育児の各段階での支援の充実は群を抜く。周辺の県知事が東京を羨むほどだ。ただ、成果が出なければただのバラマキに陥る。 最新の数字で0・99と、1を割り込んだ東京の合計特殊出生率は、今後も悪化が予想される。どこで食い止め、回復基調に乗せるのか。知事選では、そんな意欲的な目標を打ち出す必要があったのではないか。ほかにも自然災害、経済の低迷など、首都の足元は不安定だ。手堅いだけの3期目では物足りない。