「監督はうんざりしていたかも…」長谷部誠がいま明かす“キャプテンの権限を超えた”W杯ミーティング舞台ウラ「あれだけ動いたのは最初で最後」
背後で動いて全体ミーティングを開催
選手主体――。いわゆるボトムアップのマネジメントを西野監督は採用した。「君たちの方が欧州で経験がある。意見を出してくれ」と呼びかけ、選手たちに戦い方のアイデアを求めたのだ。 本田圭佑は'14年W杯で目指したパス主体のサッカー、香川真司はドルトムントのような攻守の切り替えが早いダイナミックなサッカー、乾貴士はエイバルのような効率良くピッチ中央で守ってプレスをかけるサッカー、ドイツで残留争いを経験していた大迫勇也はカウンターを狙うサッカーを主張した。これでは意見をまとめようもない。 だから、長谷部が背後で動いたのである。 「たとえば前の追い方(プレスの掛け方)については、スペインでプレーしていた乾が細かい提案をしました。向かって右にボールがあるとき、逆サイドにいる左FWの選手は相手センターバックと相手サイドバックの中間に立つのか、それとも低い位置で相手サイドバックを見るのか。『エイバルではこういうやり方でやっているから、前者が絶対いいです』という感じで。それに対して他の選手がまた異なるやり方を主張する。こいつらもう、みんな好き勝手言うなと(笑)。細かい詰めの作業を、本当に時間がない中でやらなければならなかった。あのときは本当に時間が足りなくてしょうがなかったですね」 ――選手を含めた全体ミーティングの司会は西野監督が務めたんですか? 「西野さんは基本的に後ろで座って見ていて、僕が監督に『どうですか? 』と振るような感じでした」 ――長谷部キャプテンが進行役だったと。 「いや、何て言えばいいんですかね。分析担当の和田一郎さんと二人でビデオを見せながらやったこともあった。キャプテンとしてあれだけ動いたのは最初で最後でした」
「やっている感は出しませんね、絶対に」
――この話は当時、まったく表に出ませんでした。キャプテンが裏で動いていたことはチームメイトにも隠していた? 「選手に見られないように、悟られないようにしていたのは確かですね。あんまりキャプテンがワチャワチャ動いていると、チームに影響が出るじゃないですか。だから監督とそんなにコミュニケーションを取っているようには見せなかった。まあ、(川島)永嗣は少し知っていた気もするけどね」 ――手柄感を出さないのがすごい。 「やっている感は出しませんね、絶対に。僕はロシアW杯後に日本代表を引退すると決めていたから、後悔したくなかったんです。とにかくできることはやろうと。だから、あのときは家族と連絡することができないくらい、いろいろ動いていましたね」
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