【全文】安藤忠雄氏「なぜ2520億か、私も聞きたい」 新国立問題で会見
森喜朗会長の影響力はどれくらいあったのか
司会:じゃあ、どうぞ、手前の方。 安藤:はい、どうぞ。 NHK:NHKのサトウと申します。 安藤:はい。 NHK:NHKのサトウと申します。ほかの審査委員の方々の取材をしますと、当時の議論について、コストの議論についてはほとんど行われていなかったという認識を持つ方がほとんどだったんですけども、あらためて安藤さんはその辺り、コストの議論についてはどのような、十分だったというふうにお考えでしょうか。 安藤:実際にはアイデアのコンペなんですね。アイデアのコンペ。こんな形で、こんな形でいいなというコンペなもんですから、徹底的なコストの議論にはなってないと思いますよ。なぜならば、それほど図面がきっちりあるわけではないですからね。そういうふうに私は思っています。いいですか。はい、どうぞ。 司会:では、一番真ん中の女性の。 読売新聞:安藤さん、読売新聞ユウキと申します。 安藤:はいはい。 読売新聞:われわれが買い物をするときは、そのものの、もちろん値段の高もそうなんですが、それがどういう価値を持つかを考えて決めます。バランスの上で。 安藤:そうでしょう。 読売新聞:安藤さんはこのデザインを選ばれたときに、これがどのようなスポーツ、それから建築としてのレガシーを残してほしいと思われて選ばれたのか。 それからもう1点。この有識者会議、審査委員会のときも、審査の最中のときもこの技術が非常にチャレンジングだったというふうに紙に書いていらっしゃいます。どの辺りが安藤さんの目からご覧になってチャレンジだったのかとお教えください。 安藤:レガシーというよりも、ともかく日本がこの時期にこれを造ったんだと、ぐらいの気持ちで選べるものがいいんじゃないかと思って、私1人の意見じゃないですけども、そういうふうに思いました。それからもう1つ、かなり形態的に個性がありますが、今、時代はコンピュータの時代ですので、この時代にしかできない建築ってあると思うんです。 1964年のオリンピックの時代とは違いまして、コンピュータで徹底的に解析することによって出来上がる美しい建築ってあるだろうというふうに私は思っていました。そこでこれを選ばせていただいたわけですけども、あの時代にあの建物ができたということがいいのではないか、というようなことがほとんどの先生方の意見でありまして、実際には最後のほうには割れてたんですよね。同時に審査員の中で外国のノーマン・フォスターという人とロジャースという人がいるんです。 大変国際的に有名な方ですが、その人は審査してないじゃないかという意見がありますが、実際にはみんなで1日かけてニューヨークのノーマン・フォスターさんと、それからロジャースさんと徹底的に打ち合わせして、俺はこれだという意見を聞いていますし、最終日の日にもちゃんと電話でやり取りをいたしまして、こういう流れなんだけれどもどうなんだ、という話もしておりますから、メディアの中には全然聞いてないというのかな。じゃないかというのがありましたが、実際にはそうではなく、彼らもこれに賛同をしておりました。いいですか。 司会:時間を超えておりますので、最後の1問とさせていただきます。それでは、手前の男性の方、お願いします。 弁護士ドットコムニュース:弁護士ドットコムニュースの山下と申します。本日配付された資料に2019年のラグビーワールドカップを見据えたタイトなスケジュールが求められたというふうに書かれていますが、ラグビー界に影響力があって、東京五輪組織委員会の会長を務めておられる森喜朗会長の影響力はどれくらいあったのかということと、あと新国立競技場のことを森喜朗記念競技場だとか、森喜朗古墳とかいった呼び名が世間から出ていることについて、どう思われるかっていうのを伺いたいと思います。 安藤:2019年のラグビー、それから20年のオリンピックというときに、まずはオリンピックのことで考えていました。で、19年のラグビーも知っておりました。そして、ネーミングについては私は、近頃、時々なんかあちこちから聞こえてきますが、その当時は全然そういうことは聞こえていません。そしてよく考えてみると、もしできるのならばオリンピックもラグビーも両方できたほうがいいんじゃないかと思っています。そしてそれが問題になるということかどうかというのは私は分かりませんが、両方あったほうがいいと思っています。はい、いいですか。いいですよ。いっぱい来るからもう同時に言うたら、どうや、もう。 司会:じゃあ、本当に最後の1問とさせていただきます。 安藤:お任せしますよ。 司会:それでは、こちらのラインの。 安藤:ハシモト言うたらどう? 司会:男性の方。はい、そちら。 安藤:はい、どうぞ。 司会:最後です。 安藤:最後でもなんぼでもいいんですよ。はい、どうぞ。 VIDEO NEWS:よろしくお願いします。VIDEO NEWSの神保と言います。審査委員会の委員長として、審査委員会が選んだデザインで造ろうとしたら、2,520億円、最低でもかかるということが分かった今、審査委員長としてデザインを見直してもいいんじゃないか、見直す必要があるんじゃないかというようなお考えがあるかどうかお願いします。 安藤:先ほど話しましたよね。1,625億、話しましたよね。で、この値段があまり出てないんで、基本設計が1,625億、で、2,520億というのは現在ですよね。で、私は2,520億円って聞いたとき、え? と思いましたよ。本当と。だからやっぱりこれは調整せないかんでしょう。それがいわゆる国民の人たちの気持ちじゃないですか。何考えとんねんというときに私はやっぱり徹底的に4つのチームがあります。ザハさんもいます。みんなで徹底的に討論をして、スケジュールのことがあります。コストのことがありますが、やっぱりそうすべきでしょうね。それはやっぱり、審査委員が委員長というよりは、1人のいわゆる国民としてそういうふうに思います。いいですか。はい、どうぞ。 男性:すいません。 安藤:はい、どうぞ。もう最後ですか。 男性:はい。 週刊金曜日:すいません。週刊金曜日の取材をしていますナガオと申します。このお金の問題と、大きさの問題って関連してると思うんですけれども、そのザハさんの案を選ばれたときに、競技場本体ではないんですが、関連敷地の公園などとして、近くの都営霞ヶ丘アパートの退去を求めるというふうなことがありまして、それについてどう思われるかということと、そこに今、住民の方がまだ130世帯ぐらい住んでるんですが、高齢化されて皆さんやっぱりふるさとだと思っていて、出て行きたくないとおっしゃっているんですが、そのことについてどう思われるかっていうことをお聞かせください。 安藤:大きいです、建物は。大きいです。8万人入るとこれぐらい大きいんですね。で、もう1つ、今言われたように周辺環境との問題があります。これをアイデアのコンペを決めたあとで、徹底的にやっていかないかんのです。で、その中でもちろん問題がないものはないんです。そんなにスムーズに全部いくというわけにはいかないと思いますけども、それをお互いに、それができることによって、自分たちも納得できるという人たちがいると思いますので、徹底的に話し合わないかんと。今、話し合ってるかどうかいうのもわれわれは分かってないわけですよ。そういう中でこれからオープンにやりながら、オープンにいわゆる公開しながらやられたほうがいいんじゃないかと。 週刊金曜日:JSCと国の方が話し合ったほうがいいというお考えですか。 安藤:ちょっとこの辺りがJSCなのか、ちょっと私が分からないんですけども、どっちにしても主体がやらな、しゃあないですね。主体が。で、これは同時に東京都も入ってるでしょう。で、国も入ってるでしょう、JSCも入ってますが、みんなでやっていかないかんのではないかと私は思いますが、もう最後に1つだけで終わりたいと思います。どうぞ、どうぞ。どこでもどうぞ。はい、どうぞ。はい、どうぞ。はい、どうぞ、どうぞ。 記者A:いいですか。 安藤:はい。 記者A:何度もすいません。 安藤:短くね。 記者A:はい。短く。 安藤:さっき言うたやんか。 記者A:あ、すいません。 安藤:ほんならもういいわ、次。 記者A:1個だけ。 司会:じゃあほかの方、後ろの方。 安藤:2回同じ人しても面白くないやん。はい、次。 司会:後ろの方で。 記者B:磯崎新さんについてお願いします。 安藤:はい。 記者B:磯崎新さんがいろんな異見を唱えてますけど、それについて。 安藤:ちょっと先こっちいいですか。それを最後にしましょうか。 毎日放送:毎日放送のタブチと申します。下村文部科学大臣をはじめ、いろんな方が、なんか今この国のリーダーシップは誰が執ってるのかと思ってるところがあると思うんですが、先生、安藤さんはいかが思われますか。 安藤:はっきり言うと家族でリーダーシップはお父さんなのか、お母さんなのか、子供なのか分からないですよね。で、これが日本の国の中小企業でも社長がトップなのか誰か分からん。これやっぱりリーダーシップ要りますね。リーダーが強い思いと、強い力と、強い知的能力を持って引っ張っていかなければなりませんで、これで言うとリーダーはどなたかな。文部大臣なのかなと思ったり、総理大臣なのかなと思ったりしますが、私は決めれるわけにはいきませんけども、リーダーが要ります。で、先ほど、最後にいいですか。もういいですか。いいですか、最後で。 男性:はい。 安藤:磯崎さんという建築の大家と、それから槇文彦さんっていう大変有名な建築家おられますが、槇先生が前から景観が悪いと言っておられます。そして、ここのところはコストが悪いと、それから可動にしろと、こういうことをいろいろ言うておられます。それはいわゆるこちらのチームとしては、基本設計のチームとしては、どう受け止めるかいうのは聞いてもらわないかんです。1回もう聞いてると思いますよ。そこにわれわれは参加できてないわけですよ。もう審査で終わりですからね。 で、もう1つ、磯崎さんはこういうふうに言っておられます。ザハを選んだと同時に案を選んだと。だけど、ザハを選んだと。絶対にいわゆる国際協約からいって、その人を外すわけにはいかない。そのことをしっかりと踏まえて考えろと言っておられます。私もそう思います。まったくそう思います。ここは重要なところです。 で、それでないと日本の国際的信用がなくなります。私はその点について磯崎さんの意見を大変尊重したいと思っております。槇先生については大変頑張っておられると。最後までよく頑張っておられると。すごいなと私は思いますが、私たちにそういうエネルギーがあるかどうかということも考えねばならないと思っています。いいですか。 司会:はい。お時間とさせていただきます。なお、このあとご希望であれば囲みを、会見の内容についてお答えできる範囲で手前ども、理事の鬼澤が、お受け、この場でお受けさせていただきます。安藤先生はご退席になられます。これを持ちまして本日の会見終了させていただきます。 安藤:どうもありがとうございました。 司会:ご多忙の中、ありがとうございました。 安藤:ありがとうございました。