60歳以降も「再雇用」で働く予定です。「月20万円」で65歳・70歳まで働くと、年金はどのくらい増えるでしょうか?
年金を受け取れる年齢が65歳に引き上げられたことによって、60歳定年後も再雇用などで働き続ける人が増えています。65歳・70歳まで働いた場合、受け取れる年金見込み額などはどのくらい増えるのか、メリットやデメリットも含めて解説します。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
60歳以降も働き続けている人の割合は?
内閣府「令和5年高齢社会白書」によると、男性の就業者割合は、60~64歳83.9%、65~69歳61.0%で、女性の就業者の割合は、60~64歳62.7%、65~69歳41.3%に達しています。同調査では仕事をしている60歳以上の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと考えていることも明らかとなっています。 社会保険(厚生年金・健康保険など)は、70歳まで加入できます。国民年金に加入できる年齢は60歳(任意加入は65歳)までなので、60歳以降も厚生年金に加入し続けると将来に受け取れる年金額が増えていきます。
65歳・70歳まで働き続けたら、年金はいくら増える?
厚生年金の増加額は、「平均月収×5.481÷1000×勤務月数」の計算式で計算します。 <試算例> ●1年間、厚生年金に加入しながら働いた場合 平均月収20万円×5.481÷1000×12月=年額約1万3154円の増加 ●60歳から5年間働き続けた場合 平均月収20万円×5.481÷1000×60月=年額約6万5772円の増加 65歳から70歳になるまでの老齢厚生年金は、「在職定時改正制度」によって毎年9月に再計算して10月から増額して支給されることになっており、増加年金額は1年間働いた場合の金額(月収20万円では年間約1万3154円)が上乗せされていきます。最終的に60歳から70歳まで働き続けた場合には年間約13万1544円の増加見込みとなります。
年金が増えるメリットとデメリットは?
働き続けて受け取る年金額が増えるのはメリットですが、収入の増加に合わせて税金・社会保険料なども毎年増えていくことと、厚生年金月額と報酬月額が合計48万円以上になると年金額の一部または全てが支給停止になってしまうことがデメリットです。65歳以上からは介護保険料も年金から差し引かれます(介護保険料は住んでいる自治体によって変わります)。 そして年金は所得税法での「雑所得」にあたり、勤務先での年末調整は行われないため、年金額によっては確定申告を行う必要が出てきます(収入が公的年金だけで、収入金額が400万円以下の場合は、確定申告は不要です)。 65歳未満で月収20万円の場合、毎月手取り額は約15万円程度です。65歳以降に年金を受け取りながら働き続ける選択をしたら、なるべく手取り額が多くなるように働き方(勤務形態や勤務時間など)を変えていくのもひとつの方法です。
まとめ
60歳定年退職後も70歳まで社会保険(厚生年金・健康保険など)に加入し続けると、受け取れる年金額と天引きされる税金額なども増えていきます。自分自身の体調や生活設計をときどき見直しながら、無理のない範囲で働いていくのが望ましいでしょう。 出典 内閣府 令和5年高齢社会白書 日本年金機構 在職老齢年金の計算方法 国税庁 高齢者と税 年金所得者の確定申告不要制度 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部