京都国際高校、延長の末に劇的な甲子園初優勝…甲子園に響き渡った韓国語の校歌
韓国系の京都国際高校野球部が106年の歴史を持つ全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)で延長戦の末、奇跡のような優勝を果たした。 23日、兵庫県西宮市の阪神甲子園野球場で開かれた第106回全国高校野球選手権大会で、在日韓国系の京都国際高校が2対1で関東第一高校を破り、初優勝の栄光を手にした。春と夏の高校野球大会106年の歴史を通じて、韓国系高校が優勝したのは今回が初めて。また、日本の学校ではなく、国際学校(現在は韓国と日本の両方で認可)として設立された学校としても、初めての甲子園優勝チームとなった。 当日は日本で国民的な人気を誇る甲子園の決勝らしい名勝負が繰り広げられた。京都国際の先発ピッチャー中崎琉生と、関東第一の先発ピッチャー畠中鉄心の火花散る投手戦が展開された。特に、京都国際の中崎は4回1死までバッターも1人も塁に出さず、関東第一の強力な打線を抑え込んだ。130キロ台後半の直球と120キロ台のスライダーなど変化球が、絶妙にミットに吸い込まれた。その後、9回まで34打者を相手に104球を投げ、4被安打(1四死球)、5奪三振の驚くべき投球を見せた。9回裏2死満塁のピンチを迎えたが、ライトフライで切り抜けた。関東第一も投手を変えながら、9回表まで無失点をマークした。 勝負は9回を終え、延長10回のタイブレークで分かれた。無死1、2塁に走者を置いて攻撃を始めた10回表、京都国際の小牧憲継監督の代打カードが的中した。京都国際は代打で出た西村一毅が安打で作った無死満塁のチャンスで、1番の金本祐伍が押し出しのフォアボールを選び、先制点を奪った。続く満塁のチャンスで、京都国際は2番の三谷誠弥の短いレフトフライの時、3塁走者が飛び込んで点差を2点に広げた。京都国際は続く10回裏に2死満塁の危機に追い込まれたが、それ以上得点を許さず優勝を決めた。 京都国際が甲子園の頂上に立ったのは、わずか数年前までは想像すらできなかったことだった。京都国際の野球部は1999年に設立され、25年しか経っていない「新興野球部」だ。設立当初は面白半分で野球をしていた「やんちゃ坊主の集まり」レベルのチームだった。 日本全国の有名な高校野球部3700余りがこの大会の出場を目指しているが、甲子園に出張できるのは49高のみ。47都道府県で行われる予選で優勝したチーム(東京都と北海道は2高)だけに甲子園に本選への出場資格が与えられるため、本選に進出したチームは強力な戦力を備えている。その上、予選から本選まで1試合でも負けたら即脱落する「ノックダウン方式」で運営されるため、ただ1度のミスも許されない。 しかし、京都国際は2020年代だけで甲子園進出3回と準決勝進出の1回に続き、今回優勝を果たしたことで、新興野球名門高として名を知らしめるようになった。 今大会の京都国際では「二人のエース」と呼ばれる中崎と西村がチームの勝利に貢献し、まぶしい活躍を見せた。特に2年生の西村は、第2戦と第4戦で計256球(2回戦138球、4回戦118球)を投げ、両試合とも無失点で勝利をもたらしたのに続き、準決勝でも5回から5イニングを失点なしで完璧に抑え、チームを決勝進出に導いた。西村は今大会23イニング連続無失点を記録し、「ミスター・ゼロ」と呼ばれた。3年生の中崎も1回戦(9イニング3失点・139球)と3回戦(9イニング無失点・143球)、準決勝(4イニング2失点・55球)で力投を見せた。 スタンドでは摂氏35度前後の猛暑にも関わらず、韓日国籍の在学生と保護者、卒業生など熱い応援戦を繰り広げた。特に京都国際側は「いよいよ甲子園決勝に進出することになった」としてこの日午前7時頃から貸切バスで在学生と保護者、卒業生、学校関係者、京都内の他の学校から来た応援団を甲子園に運んだ。本部席で「熱中症が懸念される気温のため、水分を十分とって、健康に気をつけてほしい」と注意を呼びかけるほど蒸し暑い中で試合が行われた。 同日、3塁側のスタンドを埋め尽くした京都国際の応援団はおよそ2800人に達した。在校生応援団が100人余りで、野球部を除いたほとんどの生徒がたちが集まり、卒業生500人余りと保護者たちも加わった。甲子園球場3塁側のスタンドは、かつて白い服を着た観客がここを埋め尽くした時、まるで雪が降った山のように見えることから「アルプススタンド」と呼ばれている。応援団は京都国際が攻撃するたびに席から立ち上がって「ホームラン、ホームラン」を叫んだり、京都産業大付中・高の吹奏楽部の演奏に合わせて拍手をしながらお祭りのように試合を楽しんでいた。 同日の試合後には、勝利チームである京都国際の韓国語の校歌が甲子園球場に再び響き渡った。甲子園では毎試合後、勝利チームの選手たちがホームプレートの前に集まって校歌を歌うのが慣例。甲子園の試合を中継するNHK放送がこの場面まで全国に生中継するため、京都国際が勝利を収める度に「東の海を渡りし/大和の地は/偉大な祖先/古の夢の場」という歌詞が含まれた韓国語の校歌が日本全域に生放送され、大きな話題を呼んだ。 ただし、学校側ではこの問題が過度に浮き彫りになり、関連記事に学校と学生たちを非難するコメントが付くなどの問題を懸念して、「校歌内容の中で東海(日本語訳では東の海)という言葉だけに注目して記事を書くことは控えてほしい」と要請した。 一方、今回の対決は古都京都と現首都である東京の高校が甲子園の春・夏大会を通じて初めて対決した決勝戦としても注目を集めた。日本のマスコミは「東西対決」、「プライドをかけた戦い」、「面白すぎる」と言われていると報じた。東京地域の高校が夏の甲子園の決勝に進出したのは2011年以来、京都の場合は2005年以来だった。同日、京都国際の優勝で、京都は1956年以来、初の優勝チームを輩出することになった。 西宮/ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )