修斗の同時2階級制覇王者の新井丈が無念のTKO負けで初勝利ならず「格闘技は奪い合い。未来が見えない」【RIZIN.48】
修斗の世界ストロー級とフライ級の同時2階級制覇王者の新井丈(和術慧舟會HEARTS)が「RIZIN.48」(9月29日、埼玉・さいたまスーパーアリーナ)でエンカジムーロ・ズールー(南アフリカ共和国/CIT Performance Institute)と対戦した。試合は1RでズールーがKO勝ちを収め、新井のRIZIN初勝利はならなかった。 新井は昨年11月に山内渉との激闘の末、フライ級王座を獲得。その激闘からわずか1カ月という短いスパンでのRIZIN初参戦でヒロヤと対戦し、2RでTKO負けを喫した。今回はそこからの再起戦だった。 ズールーは2013年3月にカンボジアのCTNプロモーションでプロデビュー。EFCを主戦場に戦績を重ね、2014年2月に空位のバンタム級世界王座決定戦でチャーリー・ヴェヤーを破り王座を獲得。2016年には南アフリカ出身選手として初めて「The Ultimate Fighter(TUF) 24」に出場し、扇久保博正と対戦し2Rで一本負けを喫している。2023年7月にはEFCバンタム級王座決定戦でムサ・セツワペを4Rでリアネイキドチョークで破り2階級同時王者に。直近では今年3月にフライ級王座を防衛。バンタム級とフライ級の2階級王者に君臨している。
1R、オーソドックスの新井とサウスポーのズールー。圧をかけるのは新井。ズールーはスイッチを繰り返す。新井が圧をかけてパンチを当てていく。ズールーは左ハイ。ともに右ロー。新井が飛び込んで左フックからパンチを連打。新井が圧をかけてロー、ジャブ。ズールーは前蹴り、ミドルで距離を取ろうとする。それでも圧をかけ続ける新井。ズールーは左ミドルから左ストレート。前に出る新井にズールーが左ハイ。なおも左右のハイ。ズールーが左三日月蹴りをボディーにめり込ませると新井の動きが止まる。そしてズールーは左ハイでぐらつかせると首相撲からヒザ。そして下がった新井の首筋にバックスピンキックを一閃。なおも右アッパー、右フックとパンチを連打。新井はガードを固め立ち続けたが、動きが止まったところでレフェリーが割って入り試合を止めた。
新井は試合後の会見で「展開としてこうなるの分かってたし、出された武器も想定していたものであったんですけど“我慢だ我慢だ”って自分に言い聞かせながら。“2R目から、俺のターンが来る”と、そう信じて耐えていたつもりなんですけど。最後踏ん張りきれないっていうか…。気づいたら終わってたっていうところですね」と試合を振り返った。 そして「勝って、新井丈の物語、まだ続くんだなって思いたかったというか。そうなると信じてたんですけど。うん…。やっぱこう、格闘技は奪い合いなんで。負けるとやっぱ、未来が見えないっすよね……。どうするのが正解なんだろうって。正直思います」と肩を落とした。