俳優・前原滉 話題作に立て続けに出演!「自分ではあまり振り返ったことがなくて…」
■見た目と雰囲気がハマりやすい?
2021年には「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」で映画初主演。これは、目的も理由もわからないまま、何十年も毎朝9時から夕方5時まで戦争を続けている人々を描いたもの。前原さんは、音楽隊への人事異動を言い渡される真面目な兵隊・露木役。 「この作品もすごく楽しかったです。何か新しい表現方法というか。池田監督には『この映画はこれで行くんです!』という、太い芯みたいなものがあって。『それはちょっとどうですかね?』みたいな迷いがあまりなかったんです。『じゃあ、やってみよう』みたいな感じで。 絵本みたいな作品だけど、中身はちゃんとあって、いろいろ考えさせられる部分もありました。何か余白が多いと多いで、そういうのがまた浮き出てくるんだなっていうのは、面白い作品だなと思いました」 ――劇中では川の向こうとよくわからないままずっと戦争が続いて戦っている。ある意味、よくわからないSNSの世界で知らない人に叩かれて戦わなければいけなかったりする今の時代と重なりますね 「そうなんです。全然デジタルじゃないけど一緒なんですよね。ああいう風な表現方法だけど、そこがちゃんと出てくるっていうのはいいなあって。 軽くなりすぎないで、ちゃんと中身が詰まっているというのも面白いなと思いました。すごく楽しかったですね。初主演映画としてはちょっと変わっている作品ですけど、何かすごい自分っぽいなとも思うというか」 ――主演と聞いたときはいかがでした? 「『ありがとうございます』というか。今回もそうですけど、何か背負うということが、まだあまり実感できてないんですよね」 ――「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」は「第21回東京フィルメックス」で審査員特別賞を受賞しました。主演映画が賞を受賞されたと聞いたときは? 「映画を作った人たちのおかげなので、本当に『監督ありがとうございます』みたいな感じでした。作った人たちがちょっと報われる瞬間ですよね」 同年、映画「彼女来来」にも主演。前原さん演じる主人公・佐田紀夫は、キャスティング会社で働く30歳。交際3年目になる恋人の茉莉(奈緒)と平穏な毎日を送っていたが、夏のある日、奇妙な感覚に襲われる。目が覚めると部屋にいたはずの茉莉の姿はなく、代わりにマリと名乗る見知らぬ女性(天野はな)が…という展開。 「『彼女来来』は、山西さん(監督)がSNSで『やってほしいねんけど、会社の方の連絡先を教えてくれるかな?』みたいな感じで連絡をいただいて。こういう話をやろうと思うというので、『絶対やりたいです』みたいなことから始まりました。何か不思議な話ばかりやっていますね(笑) 僕は、汎用性が高いのと、物語とか洋服とかも多分そうなんですけど、あまり強烈に合うわけじゃないけど反発はしないみたいな感じで、親和性(周りとなじみやすい)みたいなのは多分あるんだと思うんですよ。顔が薄いので(笑)。僕自身というよりも、多分見た目とか持っている雰囲気が、いろんなものにハマりやすいんだと思います。 無表情でいたら、きっと犯人みたいにも見えるし、笑っていれば穏やかにも見えるし…というところで幅があるから、不思議な物語の中にいても多分おかしくならないんだろうなって。自分がそうだからというより、そうなんじゃないかなって思っています。第三者っぽい分析ですけど」 ――この作品のときも主演だというプレッシャーはそんなに感じることはなく? 「プレッシャーを感じた方がいいんだなって思い続けていたときだと思います。そのときとかは、多分自分よりどこかに置く癖が自分の中にあって、自分の事にしていかなきゃいけないみたいなところは最近すごくあります」 ――出演作品はどのように決めているのですか 「特に選んだりしてないです。スケジュールが空いていれば基本的には何でも…という感じです。ちょっと種類の違うお仕事とかは、一度検討することが多いです。 1回だけ自分の意思で『ちょっと違うかもしれません』というのがあったかな。再現のドラマをスタジオで見るみたいなので、お笑い芸人の方が主役で、それに絡む地元のヤンキーみたいな役があったときに、『あまり面白くできる自信がないです』というお話をしてやめたことがありました。 ドラマというよりもコントっぽい部分もありつつの再現ドラマだったので、それは面白くできる自信がないかもしれませんというので、自分の意思でやめたことがありますけど、それが唯一かもしれないです。 それ以外でやめておこうと思ったのは、2回目が今回の映画『ありきたりな言葉じゃなくて』のお話を最初にいただいたときです。ほかにはないですね。本当に何か変な役、不思議な役とかでもいい。面白いです」 癒し系からエキセントリックなキャラまで幅広く演じ分け、見事にハマる前原さん。「直ちゃんは小学三年生」(テレビ東京系)では小学校3年生の男の子・てつちん役に挑戦。次回はその撮影エピソード、公開中の主演映画「ありきたりな言葉じゃなくて」の撮影裏話なども紹介。(津島令子) ヘアメイク:ゆきや(SUN VALLEY) スタイリスト:矢島世羅
テレビ朝日