【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…8月第1週の「米国経済」の動き
ドル/円急落により「円安トレンド」の転換をも予感させる現在、「米ドル円」に対する世の中の関心はかつてないほどに高まっています。そこで、来週の米ドル円相場の動向に影響を与えそうな、先週の米国経済の動きについて、東京海上アセットマネジメントが解説します。 【画像】「30年間、毎月1ドルずつ」積み立て投資をすると…
先週の米国経済…個人支出は市場予想を下回る
米商務省が公表した2024年6月の個人支出(価格変動の影響を除いた実質ベース)は、前月比+0.2%と5月(同+0.4%)、市場予想(同+0.3%)をともに下回りました(図表1)。 実質個人支出を四半期ベースでみると、2023年10-12月期の前期比+0.9%から2024年1-3月期に同+0.4%へ減速した後、4-6月期は同+0.5%へ小幅に加速しているものの、均せば2024年入り後の消費は、低空飛行が続いていると判断されます。 2021年以降、経済活動が正常化に向かうなか、実質個人支出はコロナ禍に積み上がった過剰貯蓄の取り崩しや、労働市場の回復に伴う雇用増加及び賃金上昇などを背景に、コロナ禍前のトレンドを上回っていたものの、コロナ禍前のトレンドに沿って推移しています。 実質個人支出の内訳をみると、財支出は年末商戦の反動から、2024年1-3月期に前期比▲0.6%となった後、4-6月期は同+0.6%と1-3月期の落ち込みを取り戻した程度にとどまっています(図表2)。 加えて、サービス支出は増加基調こそ維持しているものの、増加ペースは鈍化しています。⻑く続いたコロナ禍からの経済活動正常化に伴うペントアップ(繰り越し)需要が、ようやく一巡しつつあります。
贅沢品への支出は低調
財支出のうち、耐久財は2024年4-6月期に前期比+1.2%(1-3月期︓同▲1.1%)と年末商戦の反動から持ち直したものの、年末商戦前(2023年10-12月期)と同水準にとどまっています(図表3)。 4-6月期は、ディーラー向けソフトウェア会社がサイバー攻撃を受けたことで、自動車の回復が鈍かったことに加え、消費者の節約志向により、娯楽用品などの選択的支出(贅沢品)が低調となったことが、反映されているとみられます。 非耐久財については、2024年4-6月期に前期比+0.3%(1-3月期︓同▲0.3%)とプラスに転じたものの、2023年10-12月期対比では、+0.1%の低い伸びにとどまっています(図表4)。 4-6月期は、食料こそ増加したものの、被服・履物が減少したほか、燃料はガソリン価格の上昇を受けて急減した1-3月期からの戻りが弱い状況にあります。 先行きを展望すると、コロナ禍で積み上がった過剰貯蓄の取り崩しが進んでいるなかで、労働需給の緩和を背景に、賃金の伸びが鈍化していることや、クレジットカードローンの延滞率が上昇していることなどを踏まえると、個人消費の減速傾向は継続すると予想されます。
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