金魚養殖の旧郡山藩士の記録、22日のサミットで展示…米万博への出展断念の無念にじむ
奈良県大和郡山市で22日に開かれる「金魚サミットin大和郡山」で、金魚の養殖を手掛けた旧郡山藩士・小松 春鄰(はるちか) がしたためた文献資料が展示される。米国で1904年に開かれた万博で約3万匹の金魚を出展する準備中、日露戦争の影響で断念した経緯などがつづられている。
春鄰は、1870年頃から藩主だった柳沢家の後押しで金魚養殖に従事し「小松金鱗舎」を設立。90年には明治天皇の皇后が法隆寺を訪れた際、養殖した金魚を買い上げてもらったという逸話も残る。
1904年、春鄰は米セントルイス万博に金魚約3万匹を出展しようとするが、この年開戦した日露戦争で実現せず、今回展示する「注文回答 扣(ひかえ) 帳」に無念の思いをにじませた。
<米国セントルイスノ大博覧会ニ…金魚出品、且ツ売店ヲ開カントシテ…安芸丸ニ乗込ム計画>(米セントルイス万博に…金魚を出展し、さらに売店も開こうとして…安芸丸に乗り込む計画)
<日露砲火ヲ交ユル折柄、船ハ米国ヨリ寄港前々御用船ニ編入セリ…遺憾ナガラ不得止中止スルノ場合立到リ候>(日露戦争のため、船は米国より寄港前々に御用船に編入になってしまった…やむを得ず中止することになった)
「郡山城史跡・柳沢文庫保存会」の吉田栄治郎研究員は「春鄰がいたからこそ郡山はここまでの金魚の名産地となった」と話す。問い合わせは、市農業水産課(0743・53・1151)。