囲碁AIの勝利でさらに注目? 今年の将棋「電王戦」は“頂上決戦”
将棋のプロ棋士とコンピューターソフトが対決する「第1期電王戦」(主催・ドワンゴ、日本将棋連盟)が4月9日に開幕します。今年は、過去3年間行われた団体戦形式に代わり、第1期叡王戦を勝ち抜いた山崎隆之叡王(八段)と第 3 回電王トーナメント優勝ソフト「PONANZA」による優勝者同士がぶつかる頂上決戦の形になりました。お隣の囲碁界では囲碁AI(人工知能)「アルファ碁」がトッププロ棋士イ・セドル氏(韓国)を破り、AIの進歩が大きなニュースになったばかりで、今回の将棋電王戦も注目されそうです。
山崎隆之八段vs. 「PONANZA」
「第1期電王戦」は、第1局が4月9日、10日に関山中尊寺(岩手県西磐井郡)で、第2局が5月21 日、22 日に比叡山延暦寺(滋賀県大津市)に開催。「2番勝負」形式になっており、一勝一敗の場合、引き分けで終了することになります。持ち時間各8時間の二日制は、棋界最高賞金大会の竜王戦と同じで、タイトル戦並みの対局といえます。 電王戦は2012年に第一回が行われ、翌年からは3年連続でプロ5人対5ソフトという団体戦で開催。2013、2014年とソフト側が団体戦勝利し、衝撃を与えましたが、2015年は3勝2敗でプロ棋士側が勝ち越し、人間側が巻き返しました。 「叡王戦」は2016年の電王戦に出場するプロ棋士を決める新棋戦として昨年創設されました。参加は自由エントリー方式とし、羽生善治名人、渡辺明棋王は参加しなかったものの、現役タイトル保持者である郷田真隆王将を含む154人のプロ棋士がエントリー。山崎八段が郷田王将を決勝で下し、電王戦登場を決めました。山崎八段は35歳。2009年に王座戦のタイトルに挑戦したほか、NHK杯戦でも優勝経験を持っており、序盤巧者として知られます。 一方、「PONANZA」は、山本一成氏、下山晃氏の共同開発で、2013年の電王戦で佐藤慎一四段(当時)を破り、初めて現役プロ棋士にハンデなしで勝利したソフトとして有名。過去3回の団体戦ですべて勝利しており、第3回将棋電王トーナメントも優勝して、代表の座を得ました。プロ棋士間での評価も高く、記者会見で山崎八段も「コンピューター将棋の実力が自分の認識よりもはっきりと先にあることは感じている」と警戒しています。対するPONANZA開発者の山本氏は「挑むからには勝ちたい。自信はあります」と話しました。