「夢に見ていた目標」に向けて仕上がりは順調…八村塁がシーズン開幕を前に優勝にも言及
チームメートとの絆を築き、指揮官の信頼も得る
その一方で、6回目の開幕を迎える八村を取材していると、懐かしい気分になることがある。 多少人見知りの面はあるものの、根は明るく、周りをいつも笑顔にしていたゴンザガ大学時代の彼を思い出すのだ。 大学1年生のときは、流暢に英語がしゃべれるわけではなく、出場時間も限られていたが、コートに出たときのハツラツとしたプレーと豪快なダンクやスリーポイントを決めたときのうれしそうな表情がファンを虜にした。不自由なく英会話ができるようになり、チームの重要な戦力となった2年目以降は、ロッカールームでも人気の選手となった。バスケ能力があるから人気なのではなく、八村と一緒にいることが好きでみんなが集まった。 レイカーズに加わって3シーズン目。ヘッドコーチが変わったことで、心から信頼するアシスタントコーチ、フィル・ハンディが去ったものの、今の八村には、あの学生時代と同じ雰囲気がある。 その理由は、前述のように、ここまでキャリアを築いた自信、そしてラッセルとジャレッド・バンダービルトがパリオリンピックの応援に来てくれたり、ジェームズが「みんながわかり合い、このグループを気に入っている」と話すなど、レイカーズのチームメートとの絆が深まっていること、またコーチからの信頼を感じ、自らもコーチが信じられる存在であることだろう。 「ここに来てから、いろんなことがありました。でも結局のところ、僕は僕自身でいるということです。僕のことを見ている人は、僕のことを認めてくれています。そのためにずっと努力してきました。だからここにいます。ここで優勝する準備ができています。それが、僕が今シーズンの目指すところ。僕らはこのまま突き進むだけです」 まもなく始まる6シーズン目。すべてが順調というわけではないだろう。しかし、八村は、経験と自信、そしてチームメートとの絆を武器に「夢に見ていた目標」に向かって邁進していくはずだ。 文=山脇明子
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