サービス産業と出稼ぎと個人消費が牽引するフィリピン経済
デルモンテの工場従業員は12時間交代勤務
ミンダナオ島のカガヤン・デ・オロは人口69万人の港湾都市。市街地から30分ほどバスに乗るとデルモンテの巨大工場がある。朝夕の出退勤時間帯には歩道は従業員の男女の若者の群れで一杯になる。 米国の巨大食品企業のデルモンテは1920年にフィリピンに進出してパイナップル缶詰の輸出を開始。カガヤン・デ・オロの工場がいつ操業開始したのか誰に聞いても判然としないが、50代のホステルのマネージャーの母親も工場で働いていたというので戦前からの歴史があるのかも知れない。 従業員は約2000人で工場は12時間勤務の二交替制。工場裏の海岸の専用埠頭から缶詰・瓶詰が主に米国・日本に輸出されている。 工場の対面には食堂、コンビニ、雑貨屋など出退勤する従業員相手の店が並んでいる。夕方退勤した若者が三々五々とグループで店に入る。ビールやラム酒などを売るコンビニや雑貨屋の店先にはテーブル・椅子が置いてあり若者たちで忽ち占拠される。 サンミゲル、レッドホースなどのビールは1リットル瓶で350円前後であり決して安くないが近くの屋台で仕入れた焼き鳥を肴に賑やかに飲み食いしている。隣の3人組は既に大瓶4本を空けているが追加でさらに2本買ってきた。他のグループも盛大に飲んでいる。 今晩の1人当たりの飲食費は1000円を超えるだろう。フィリピンの平均月収4~5万円からすると消費性向がメチャ高い。個人消費がGDPの70%を占めるというのも頷けた。 以上 次回に続く
高野凌