サービス産業と出稼ぎと個人消費が牽引するフィリピン経済
新車が多いフィリピンの自家用乗用車、カローラは高級車?
旺盛な個人消費を実感したのはフィリピンの自動車市場。フィリピンの街を歩いて最初に気づいたのは新しい日本メーカーの車が多いことである。バンやトラックなどの商用車では日本製や韓国製の輸入中古車も走っているが乗用車では輸入中古車はほとんど見かけなかった。 パキスタン、タンザニア、モンゴル、スリランカなどでは日本の車検証がフロントガラスに貼られたままの輸入中古車が商用車・乗用車ともに大勢を占めているがフィリピンは全く違う。 フィリピンの2022年の1人当たりGDPは3623ドル。自動車業界の経験則によると途上国において1人当たりGDPが3000ドルを超えると自家用車の一般家庭への普及が始まるという。フィリピン経済は一般家庭が新車を購入できるステージに入ったのだ。
日本の自動車メーカーの牙城、マニラのカーディーラー街
2022年7月。マニラ市のOTIS地区にカーディーラーが軒を並べている一角があった。最初に店構えがひときわ大きいトヨタのディーラーを覗いてみた。日本の販売店と同様に店内に入るとコーヒーや冷たい飲み物を勧められた。接客スタイルも日本式なのだ。 マネージャー氏によると売れ筋はビオスであり自家用車を始めて購入する客が多い。カローラはショールームでも目立つ場所に置いてありカローラ・クロス、カローラ・アルティスなどが人気らしい。フィリピンではカローラはラグジュアリー・カーという位置づけらしい。 このディーラー街には三菱、日産、ホンダ、スズキなど日本メーカーの他にフォード、GM,プジョーと欧米メーカーも店を構えていた。ちなみにフィリピンの新車乗用車市場ではトヨタが半分近いシェアを占め日本メーカー各社が後を追っており断然に日本車市場だ。
中国メーカーの台頭はあり得るのか
三菱とホンダのディーラーの間に新規開店した中国の“吉利汽車”(Geely)があった。店内は雑然としており、接客スタイルは中国式であり、フィリピン人マネージャーは立ち話で筆者に説明。マネージャーは吉利汽車が価格と品質で優位性があると強調した。全て中国からの輸入車で2021年度は3000台を販売。ガソリン車とハイブリッド車のみでありEVはフィリピンでは時期尚早と判断していると。 ちなみに2023年のフィリピンの自動車新車販売は43万台で2021年の24万台から急増している。43万台の内訳は乗用車が11万台、商用車が32万台。商用車ではピックアップとスポーツユーティリティーが25万台を占める。トヨタが全体の半分近い20万台でトップであり日本勢の牙城は揺るがない。