奥能登豪雨で孫娘を亡くした輪島塗の蒔絵師「翼音のためにも頑張っていかないと」孫との思い出が詰まった商品と共に再び店頭へ
豪雨で亡くした孫娘の言葉を蒔絵で繋ぐ
葬儀から5日、誠志さんは地震後に移り住んだ家で、黙々と蒔絵の作業に向き合っていた。 祖父・誠志さん: 地震など色々ありまして、作業をする種類はできる仕事ってのは限られてますけれど。ここではこういったわりと手の込まないような絵付けをしている。 妻の悦子さんと共に、輪島朝市に店を構えていた誠志さん。 店は地震で倒壊し焼失するも、残された道具で蒔絵作業を再開していた。 祖父・誠志さん: 8月終わりごろですかね。うちの孫(翼音)がここに来てた時、ここで仕事してた時「フクロウが可愛いから売れる」って言ったんですよね。「だからフクロウいっぱい作った方がいいよ、じいちゃん」って言った。その言葉は今でも覚えてますけどねハッキリと。 それまでフクロウは描いてなかったんです。 翼音の為にも頑張っていかないといけないな…っていう思いでやってます。
翼音さんと共に店先に立つ家族たち
10月19日、金城大学で始まった学園祭。 誠志さんの店先には、翼音さんお気に入りのフクロウのカップが並べられた。 店番に立つのは父・鷹也さんと祖母の悦子さん。祖父の誠志さんも、別の会場で翼音さんと共に店頭に立つ。 フクロウのカップの購入者: フクロウと雪月花のカップを買いました。ちょっとでも力になれたらって言ったらおこがましいですけど、少しできることがあればという思いもあって…乗り越えてまた頑張って頂きたい フクロウのカップの購入者: とっても可愛くて心がこもってるデザイン。翼音さんの思いがこもってるなと思いました。 父・鷹也さん: (祖父・誠志さんのカップを売る経験は)全くありませんでした。翼音がいれば僕がやることは無かったんですけど、少しでも(翼音の)代わりになれればと思って頑張ろうと思いました。「家族みんなで頑張ってるよ」って翼音に言いたい。 同じ日、石川県産業展示館では祖父、誠志さんも、翼音さんと店先に立っていた。 祖父・誠志さん: 翼音と一緒に頑張ってるんだよってことで、常に胸の中にはずっと生きてると思ってますので そういう思いでやらせてもらってる。翼音の思い出がね、ぎっしりと詰まった図柄、フクロウなんで、これはずっと私が元気なうちは描き続けていきます。 (石川テレビ)