「仁義なき戦い」だけじゃない! 没後10年「菅原文太」の出演作ベスト10 「沢田研二と共演」で話題を呼んだ異色アクション映画が3位に
名優・菅原文太さん(享年81)が死去したのは、2014年11月28日のことだった。その18日前の10日には高倉健さん(享年83)の訃報もあり、当時の日本が深い悲しみに包まれたことを覚えている人も多いはずだ。それからちょうど10年、「週刊新潮」の追悼特集に掲載された菅原さんの出演作トップ10を振り返り、唯一無二だった菅原さんの存在感を再確認してみよう。 【写真】菅原文太さん「出演作ベスト10」を表で見る…自身の農園で撮影された粋な「作業着姿」も (「週刊新潮」2014年12月11日号「『高倉健』の後を追うように 『菅原文太』の棺を蓋いて」の一部を再編集しました。文中敬称一部略、肩書等は掲載当時のままです) ***
ギラギラした役を全身で演じた
複数の映画評論家、映画監督、映画プロデューサーなどへの取材を元に、「週刊新潮」が独自に作成した菅原文太の出演映画ベスト10。やはりと言うべきか、1位「仁義なき戦い 広島死闘篇」、2位「仁義なき戦い」、5位「仁義なき戦い 代理戦争」と、深作欣二監督の「仁義なき戦い」シリーズ初期3作(すべて1973年公開)がランクインする結果となった。 「何と言っても『仁義なき戦い』は壮観です。特に初期3作は菅原文太の生涯の代表作と言える」 そう語るのは、映画評論家の白井佳夫氏である。 「初期3作は広島ヤクザの抗争を描くことを通じて、日本戦後史を表した、非常に優れた作品です。原爆によって焼け野原になった広島へ、軍に出ていた若者が目をギラギラさせながら帰ってくる。そして食うため生きるためにヤクザの組を結成して抗争が起こる。暴力の炸裂と笑いが混在した、お祭りのような映画です」 同じく映画評論家の北川れい子氏も、 「『仁義なき戦い』は日本映画に革命を起こした作品といっても過言ではない」 とした上で、こう評する。 「文太さんが演じた広能昌三(ひろのう・しょうぞう)は血が煮えたぎっていました。筋を通すためなら自分の手も汚すというギラギラとした役を、文太さんは、小手先ではなく、生の自分で演技していました。ガサツで乱暴で血なまぐさい人間を、文太さんは全身で表現していたのです」