『ただいま それぞれの居場所』『ケアを紡いで』大宮浩一監督の最新ドキュメンタリー 映画『そして、アイヌ』
『ただいま それぞれの居場所』『ケアを紡いで』の大宮浩一監督の最新ドキュメンタリー映画『そして、アイヌ』。この度、本作の劇場公開が決定し、あわせて特報予告映像が公開された。 本作は、大久保にあるアイヌ料理店「ハルコㇿ」の店主で、アイヌ文化アドバイザーの宇佐照代さんを中心に、アイヌのみならず、在日コリアン、被差別部落といった今なお根強い差別や偏見の問題、そして世代などを飛び越え引き継がれていく大切な文化や想いが映し出されていくドキュメンタリー。 お店の名前は「ハルコㇿ(HaruKor)」は、アイヌのことばで「食べ物(穀物)・持つ」を指し、「食べ物に困らないように」という願いがこめられている。アイヌ文化アドバイザーとして若い世代へ舞踊や楽器演奏などの伝承活動も行う宇佐照代さんは、小学生のころに生まれ育った釧路を離れ、母と5人きょうだい全員で東京にやってきた。2011年にオープンしたお店には多様なルーツをもつ人びとが国内外から訪れ、味わい、繋がる場となっている。 ハルコㇿの成り立ちには、長いあいだ関東在住アイヌの居場所づくりに奔走していた照代さんの祖母や母の想いがある。2019年にようやく先住民族としてアイヌが法律に明記されたものの、偏見や差別がなくなったとはまだまだ言い難い。映画は、照代さんの曾祖母から子に至るまでの家族のライフヒストリーを紐解きながら、アイヌと出会った人びととして、美術作家・奈良美智、評論家・太田昌国、写真家・宇井眞紀子、朝鮮/韓国民謡奏者・黄秀彦、カムイノミ祭司/縄文造形作家・平田篤史らの活動を道しるべに、文化の継承とアイデンティティ、開発と多様性、植民地主義と人権といった問いに向き合っていく。 ▼大宮浩一監督 コメント 宇佐照代さんのお話や活動を通してたくさんの事を学ばせてもらいました。また、奈良美智さんや太田昌国さんはじめ、照代さんの友人の方々にもグイグイ惹き込まれました。それは、大文字の情報で解ったつもりでいたアイヌや在日コリアン、民族やアイデンティティ、マイノリティについて具体的に個人史として語ってもらえたからだと思います。本作をご覧頂き、ますます“多民族国家ニッポン”になるであろう近い将来へ向けて希望のヒントを探って頂ければ本望です。 映画『そして、アイヌ』は、2025年3月15日(土)より全国順次公開。
otocoto編集部
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