元島民ら先祖供養 歯舞群島コース1回目の洋上慰霊、根室港発着
北方領土に眠る親族に元島民らが船上から手を合わせる今年度2回目の「洋上慰霊」が25日、北海道の根室港発着で行われた。今回は歯舞群島コースの1回目で、元島民や後継者ら48人、同行者24人の計72人がチャーター船「えとぴりか」(1124㌧)で慰霊に向かった。 洋上慰霊はロシアとの関係悪化により北方墓参がかなわない中、元島民らの心情に寄り添って実施され、今年で3年目。主催は千島歯舞諸島居住者連盟、北方領土問題対策協会、道。 今回は根室港を出港し、納沙布岬から北北西5・5㌔の洋上で慰霊式を実施。その後、波が高かったため予定していたコースを短縮し、午後2時ごろ根室に帰港。洋上からは水晶島や秋勇留島などが確認できたという。 参加者で最高齢の歯舞群島・志発島出身の木村芳勝さん(89)=根室市=は3世代計5人で参加した。「孫たちと参加できてよかった。みんな上陸したかった気持ちは同じだと思う」。同じく臼田誠治さん(85)=別海町=は「島には祖父母らが眠っている。上陸して参拝したかった」と話した。 歯舞群島・多楽島出身の福澤英雄さん(84)=標津町=は「みんな元気で暮らしていると思いを込めて献花した。少しでも近づけたことに感謝したい」と話していた。 洋上慰霊は9月21日まで計7回予定している。
釧路新聞