立憲民主党内に「消費税減税論」、野田代表は慎重な立場…党内対立の火種になる可能性も
立憲民主党内で消費税減税を主張すべきだという声が広がりつつある。物価高対策として、他の野党が消費税率の引き下げを掲げる中、立民でも夏の参院選での公約化を求める意見が出ているためだ。現実路線を掲げる野田代表は慎重な立場で、党内対立の火種になる可能性もある。 【一覧表】消費税を巡る野党各党のスタンス
「生活防衛を図る国民を守るため、食料品くらいは消費税0%にしたい」
立民の江田憲司衆院議員は昨年末のラジオ番組でこう強調した。江田氏は党内に勉強会「食料品の消費税ゼロ%を実現する会」を発足させており、昨年12月の初会合には代理を含め所属議員の3割にあたる約60人が出席した。
立民は2021年衆院選、22年参院選で時限的な消費税減税(5%)を公約に明記したものの、24年衆院選では消費税減税を盛り込まず、代わりに中低所得者向けに所得税の控除と給付を同時に行う「給付付き税額控除」の導入を訴えた。野田氏は24年秋の代表選で「基本税率を下げると税収が落ちる」と消費税減税を否定して、勝利した。
一方、日本維新の会や国民民主党などは消費税率の引き下げを主張する。衆院選で「手取りを増やす」と訴えた国民民主が躍進しただけに、立民内では「消費者にわかりやすい政策を打ち出さなければ、参院選で埋没する」(ベテラン)との危機感が強まっている。
民主党を源流とする立民にとって消費税は鬼門だ。野田氏が首相だった12年、消費増税方針に小沢一郎衆院議員らが反発し、党分裂につながった経緯がある。野田氏周辺は「政権交代を目指すなら、安易な減税は掲げられない」と訴える。
野田氏は参院選の改選定数1の「1人区」を巡り、野党候補の一本化を呼びかけている。国民民主の榛葉幹事長は4日の記者会見で「政策の一致がまず大事だ。立民の戦い方を注視したい」と強調した。