<甲子園交流試合・2020センバツ32校>一度きり大舞台に闘志 花咲徳栄VS大分商 /埼玉
兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で行われる「2020年甲子園高校野球交流試合」に出場する花咲徳栄(加須市)。開幕試合となる10日第1試合(午前10時開始予定)で、大分商と対戦する。投打の鍵を握る2人は、一度きりの大舞台に向けて闘志を燃やしている。【成澤隼人】 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 ◇初回から全力で挑む 井上朋也主将(3年) 昨秋までに高校通算47本塁打と県内随一の強打を誇り、50メートル6秒台前半の俊足を兼ね備える。主将として、精神面でも部員を支えるチームの大黒柱だ。 1年からレギュラーとなり、19年夏の埼玉大会では5連覇に貢献。同12月に主将を任され、「口で言うだけではなく、行動で示す」とチームを引っ張ってきた。また右翼手から三塁手に転向し、ノック練習を重ねて守備面にも自信をつけた。 チャンスの場面でも、物おじしない強心臓の持ち主だ。「打席では深く考えず、芯に当てることだけを考えている」。「趣味は素振り」といい、納得のいく打撃を追い求める。 自粛期間中は自分の弱点を見つめ直し、2学年上のOB・野村佑希選手(北海道日本ハム)にも相談し、ひたすらバットを振り込んだ。木製バットを使った練習に挑戦し、筋力トレーニングも毎日続け、力強さが増した。 3度目となる甲子園では選手宣誓の大役も担う。「開幕にふさわしい試合にしたい」。対戦する大分商については「速球が持ち味の川瀬堅斗投手と対戦するのが楽しみ。初回から全力で挑む」と気を吐いた。 ◇ 181センチ、88キロ。右投げ右打ち。四條畷中(大阪)出身。 ◇決勝のつもりで投げる 高森陽生(はるき)投手(3年) 「ボールのキレには自信がある」。130キロ台後半の直球に変化球を織り交ぜ、相手打線を打ち取るサウスポー。昨秋の公式戦では防御率1・13と、抜群の安定感を見せた。 2019年夏の甲子園では終盤に相手の勝ち越しを許し、敗戦投手となった。「先輩の夏を自分が終わらせてしまった」と、今も悔しさをにじませる。あの時の思いを忘れないよう、練習ノートには「自分に負けない」と記し、人一倍練習に励んできた。 春先は一時、自分の投球フォームを見失ったというが、臨時休校中の自主練習では、納得のいくまでひたすら投げ込んだ。自慢のボールのキレに磨きをかけ、昨秋から球速も1キロ上がった。バッテリーを組む中井大我捕手(3年)はテンポのよい投球を評価。「高森が投げると攻撃にリズムがつき、点が入りやすい気がする」と話す。 新型コロナウイルスの影響で、一度は諦めかけた甲子園の舞台。「自分が試合の鍵になるという気持ちで臨む。決勝のマウンドに立ったつもりで、絶対に勝って終えたい」と決意をみなぎらせた。 ◇ 174センチ、74キロ。左投げ左打ち。象潟中(秋田)出身。