日本代表、中村敬斗と三笘薫の二者択一…W杯最終予選前に森保監督が見せた未解決問題への解答は?
伊東純也の復帰も期待
ディフェンシブなポジションではシリア戦で前半3バック、後半4バックというシステムチェンジの中で、冨安健洋(アーセナル)が3バックの右ワイドから4バックの右サイドバックに移り、攻守に安定感のあるプレーを見せた。その一方で町田洋樹(ユニオン・サン=ジロワーズ)も前半は3バックの左、後半は4バックの左センターバックという形で、ポジションの変化にうまく対応していた。町田によると、後半から左サイドバックに入った伊藤洋輝(シュトゥットガルト)と逆のポジションになることもイメージはしていたという。 3バック中央からディフェンスを統率した板倉滉(ボルシアMG)を含めて、ロングボールを多用してくるシリアに対して、一対一をベースにしっかりと守り切れる3バックの存在感を前半から示した。そして後半は伊藤を加えて、バックラインの4人で力強く相手のロングボールを跳ね返しながら、攻撃面でも右の冨安、左の伊藤などがサイドバックとしての仕事を果たした。 シリア戦は左右のウイングバックがアタッカーの中村と堂安だったことで、4バック変更にあたっては中村が下がり、伊藤が入ることで3-4-2-1から4-2-3-1へのシステムチェンジを可能にしたが、ミャンマー戦の菅原由勢(AZ)のようにウイングバックの一人が本職サイドバックの選手であれば、同じメンバーのまま3バックと4バックの切り替えも可能だ。今回3バックをスムーズに導入できた背景には、ここまで“第二期・森保ジャパン”で、4バックの中でも可変性の高いオーガナイズを構築してきたことがある。 今のところ3-4-2-1と4-2-3-1、あるいは4-3-3で、どれが攻撃的で、どれが守備的かという違いを森保監督は明言しておらず、そこは選手の組み合わせで変わってくるところかもしれない。ただ、久保も左右ウイングバックが高いポジションで張り、中央で1トップの後に2シャドーと2ボランチの4人が構える3-4-2-1が、5バック気味に引いてくる相手を崩すには有効であることを指摘している。 そうした相手との戦いも想定される最終予選で、この2次予選のラスト2試合でのトライが生かされるかもしれない。右の伊東純也(スタッド・ランス)、左の三笘薫という、これまで攻撃をけん引してきた両翼の復帰も期待されるが、3-4-2-1をオプションに組み込んだことで、左は三笘と中村、右は伊東と堂安といった組み合わせが実現する可能性も高そうだ。
河治良幸