パン捨てずにビール醸造 井波、23日発売 復活で「ゾンビ」と命名
●失敗作、試作品、売れ残り ●独参考に食品ロス削減 麦芽と混ぜ合わせ 廃棄されるパンでビールを作る取り組みが、南砺市井波地域で始まる。ベーカリー「LAW(ロー)」の店主大田直喜さん(41)=富山市出身、南砺市山見=とクラフトビール店「ナット・ブリュー」を営む望月俊祐(しゅんすけ)さん(32)=山梨県出身、同=が連携して麦芽にパンを混ぜ合わせて醸造したクラフトビールを商品化した。23日からLAW開業1周年記念で販売し、食品ロス削減につなげる。 製造過程で失敗したパンや試作品、売れ残りの廃棄パンをビール醸造に活用する事業は、ドイツなど海外で行われている。大田さんが修業した鳥取県の店でもビールを製造していた。 大田さんは有機栽培農業が盛んで水がおいしいことから南砺市を移住先に選び、昨年4月、県産小麦や天然酵母のパンを製造販売する「ロー」を開業。干し柿やクロモジなど南砺市産の食材を副原料に使うビールを醸造する望月さんと知り合い、廃棄パンのビール開発を依頼した。 大田さんは試作品や失敗品したパンを子供食堂に提供したり、ラスクの材料にしたりして食品ロス削減に取り組む。望月さんはビール醸造後の麦芽かすをたい肥として農家に提供しており、2人とも循環型社会に関心があった。 望月さんは麦芽に廃棄パンを混ぜ合わせて麦汁をつくり、酵母を加えてビールを醸造した。パンがゾンビのように復活したとの意味を込めて「ZOMBIE OF THE BREAD」の商品名で、ラベルにパンの形をしたかわいいゾンビが描かれた。瓶は1本330ミリリットル、770円。23日はLAWで、24日はドーナツ店「SkiD」(富山市)でカップで販売する。 望月さんは「パンの香りと甘みがある飲みやすいビールに仕上がった」と話した。大田さんは「店のカフェでも提供し、循環型社会を推進する店を目指したい」と意欲を示した。