ANA、737MAXを25年5月受領へ 初年度4機計画
全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は、ボーイング737 MAXを早ければ2025年5月に受領する見通しだ。ボーイングの品質問題で航空各社への引き渡しの遅れが生じているものの、初年度の2025年度内は4機を受領する見込み。一方、FAA(米国連邦航空局)の指導などで、ANAを含む世界の航空各社への納入がさらに遅れる可能性もある。 【画像】ANAの737 MAXのイメージイラスト ◆国内線に最大30機 ANAの737 MAXは、国内線で運航する2008年就航の737-800の後継機。2019年1月29日に発注を発表し、 2022年7月11日に最終購入契約を締結した。大別して4機種ある737 MAXのうち、標準型の737-8(旧称737 MAX 8)を確定発注20機、オプション10機の最大30機導入する契約で、初号機(予定登録記号JA030A)は2025年5月に受領を計画している。 発注を表明した2019年の段階では、2021年度から2025年度の受領を計画していたが、2018年10月と2019年3月に海外で墜落事故が相次いで起きたことや品質問題により、正式発注した2022年7月時点では、2025年度から受領を開始するとしている。 現時点では確定発注の20機が2025年度から2028年度、オプションを行使した場合は2030年度にかけて受領する見通し。 737-800の初号機(JA51AN)は2008年5月に引き渡され、現在は全40機のうち1機(JA67AN)がソラシドエア(SNJ/6J)へリースされ、残り39機はANAと主に地方路線を担うANAウイングス(AKX/EH)が運航している。座席数は2クラス166席で、プレミアムクラスが8席、普通席が158席となっている。 旅客機は購入機の場合、就航から20年程度で退役するのが一般的で、737-800は2028年ごろから退役が始まる可能性が高い。このため、737 MAXの納入開始が若干遅れたとしても、運航への影響は当面生じないとみられる。 ◆スカイマークは25年、JALは26年から 国内の航空会社では、スカイマーク(SKY/BC、9204)が5月15日に、737 MAXの受領開始を2025年7-9月期(第2四半期)以降に後ろ倒しすると発表。これまでは同年4-6月期(第1四半期)を計画していたが、ボーイングの品質改善が遅れているため、リース会社から納入遅延の連絡があったという。 スカイマークは737-8をリースで6機導入し、同型の購入機を従来通り2026年度、超長胴型で座席数が19%増える737-10(737 MAX 10)は、現時点で2026-27年度の受領を見直さずに維持する。本邦初導入の737-10は、製造国が機体の安全性を証明する「型式証明」を取得できておらず、納期以外の不安材料もある状況だ。 また、日本航空(JAL/JL、9201)も、2023年3月に737-8を21機全機を確定発注しており、2026年から導入予定。2007年3月に就航した737-800(2クラス165席)の後継機として導入する。 ボーイングは、デビッド・カルフーン社長兼CEO(最高経営責任者)が年末に辞任し、トップを刷新するなどの改革を進めているが、品質問題はサプライヤーでも起きており、すでに問題の長期化が起きている。FAA(米国連邦航空局)がボーイングやサプライヤーへの監視を強化するなど、米国そのものの信頼にかかわる問題と言っても過言ではない状況に発展しているが、日本の航空会社は計画から大幅に遅れることなく737 MAXを受領できるのだろうか。
Tadayuki YOSHIKAWA