【バス運転士不足問題】大型AT限定免許は果たして問題解決に寄与するのか?
現在のところ制度として設定がない中型免許以上の運転免許にAT限定が登場するようだ。賛否両論あるが、大型二種免許にもかかわってくるので賛否両論を併記して取り上げたい。 【画像ギャラリー】【バス運転士不足問題】大型AT限定免許は問題解決に寄与するのか?両論併記で考察してみた(4枚) 文/写真:古川智規(バスマガジン編集部) (詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)
■今のバスはATしか製造していない
現在のところ、バスはAT車しか製造されておらず限定のないいわゆるMT免許の必要性はなくなってきているのは事実だ。それでもMT車を運用し続ける事業者はまだ多い。トラックでもAT車の割合が多くはなっているが、所属する車両がすべてAT車に統一されている事業者の方が少ないだろう。 今後、MT車が製造されなくなれば、MT車が運転できる免許は必要ないし、そもそも費用も時間も余計にかかる。普通免許を取得する多くの若者は初めからAT限定免許を選択しているのが現状だ。 こうしたことから、国では2024年問題や運転士不足問題を免許制度の面から緩和するために、中型・大型免許にAT限定を設けることにしたようだ。これにより若干の日数と費用の圧縮が図られる見込みである。
■賛成意見
これらの制度に賛成なのは主に事業者だ。先々はAT車しかなくなるのだから、少しでも費用や日数を圧縮して免許を取得させ、運転士不足を解消したいという願いからだ。 しかし現実的には短縮できる日数は2日程度で、費用圧縮効果もそれほどではない。それでもAT限定免許導入を望むのは、1日でも早く社内研修を終了させてデビューさせたいという切実な運転士不足問題が大きくのしかかっているのは想像に難くない。 事業者としては収益が悪化している中で、可能な限り運転士育成費用を抑えたいのは現状では仕方のないことだろうし理解はできる。制度上の問題は行政が動かないと変えることができないので、現実に即したAT限定免許実現は事業者にとっては歓迎すべきニュースなのだろう。