【イザベル・ユペールさん『不思議の国のシドニ』インタビュー】「日本には不思議なことも受け入れられる土壌がある」
フランス人監督が日本で撮った軽やかな再生物語
ジャン=リュック・ゴダールはじめ、名だたる伝説的な監督の作品や、後世に残る名作に多数出演して来たイザベル・ユペールさん。記憶がまだ新しいところだと、ハリウッド女優が軒並み断った問題作『エル ELLE』(16)に主演し、米アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたり。かと思えば、韓国の人気監督ホン・サンスの作品に度々登場するなど、世界をまたにかけて意欲的な活躍を続けています。 今なお全盛期のごとく輝き続けるユペールさんが、新作とともに来日しました。主演作『不思議の国のシドニ』は、なんと日本が舞台の、ちょっと不思議な物語。共演に伊原剛志さん、ドイツ出身のアウグスト・ディールさん。そして監督は、フランス人のエリーズ・ジラールさん。不思議の国・ニッポンにやって来たシドニ(ユペールさん)は、果たしてどんな体験をするのでしょう?
●イザベル・ユペール 1953年、パリ生まれ。『夏の日のフォスティーヌ』(71)で映画デビュー。クロード・シャブロルの『ヴィオレット・ノジエール』(78)、ミヒャエル・ハネケの『ピアニスト』(01)で、カンヌ国際映画祭女優賞を受賞。ポール・ヴァーホーヴェンの『エル ELLE』(16)でアカデミー賞主演女優賞にノミネート。主な出演作に、ジャン=リュック・ゴダールの『勝手に逃げろ/人生』(79)、ミア・ハンセン=ラヴの『未来よ こんにちは』(16)、ホン・サンスの『クレアのカメラ』(17)、フランソワ・オゾンの『私がやりました』(23)ほか多数。
色んな国の監督作に意欲的に出演されている印象がありますが、本作は日本を舞台にしながらも、フランス人監督の作品です。本作を日本人監督ではなく、フランス人のエリール・ジラール監督が撮ったというのは、重要なポイントですよね。 もちろんです。本作の成り立ちとして、日本で展開する物語をフランスの監督が撮ったというのは、とても重要です。フランス人だからこそ見える「日本の姿」があると彼女は思っていましたが、私自身もそう思いました。監督が投影した「シドニ」という人物を私が体現したわけですが、シドニが日本で体験することは、私自身の体験とも重なっているわけです。 この物語をパリ郊外で撮影するという話だったら、(出演を)少し考えたかもしれないな、と思います。やっぱり撮影を通して日本の色んな場所を旅行出来ることは、私にとってとても魅力的でしたし、大きなポイントでした。本当に色んな街や田舎、日本の海も見て、船にも電車にも乗ったり、盛りだくさんでとっても楽しい撮影でした。