松本城南・西外堀復元 用地取得100%に 長野県松本市
長野県松本市が「水をたたえた堀」の実現を目指す松本城南・西外堀の復元事業で、用地取得率が近く100%に達する。29日の市議会臨時会で、最後に残っていた西外堀の事業用地(城西2)109平方メートルを899万円で取得する議案が可決され、対象区域9283平方メートル全ての用地買収が完了する。来年度に復元する堀の形状や範囲を決定する基本設計に着手し、令和9年度の着工を目指す。 大正末期から昭和初期に埋め立てられた南・西外堀の復元を目指し、菅谷昭前市長が平成19(2007)年に事業着手を表明。用地買収は平成25(2013)年度に始まり、対象の全80戸が立ち退いた。用地取得に要した期間は10年余、費用は約24億8000万円(今回の臨時会の契約分を除く)に上る。 復元事業を巡っては、29年度に鉛による土壌汚染が判明し、市は堀の範囲を平面で表示する「平面整備」に方針転換したが、31年の土壌汚染対策法改正を契機に、市は再び水をたたえた堀の実現を目指している。 臥雲義尚市長は令和4年の市議会6月定例会で、用地取得が進んでいる南外堀からの事業着手を表明。当時の堀の形状を調べる発掘調査に取りかかった。当時の遺構を保護した上での復元を計画し、文化庁と復元手法について協議を継続している。 令和9年の着工を目指すが、西外堀を含めて事業完了まで何年かかるかは現時点では見通せていない。市お城まちなみ創造本部の岩渕省次長は「事業の大前提となる用地取得に協力していただいた地権者に感謝したい。水をたたえた堀の実現に向け、文化庁など関係機関との協議を続け、早期の事業化を図りたい」と話している。
市民タイムス