「一度は使われなくなった楽器たちが輝いていた」音楽教育の普及めざす女子大生がウガンダで出会った子どもたち
日本からの先生も楽器も心待ちにしている子どもたち
2022年5月にウガンダへ渡った麗里香さん。派遣されたAIMECの音楽塾で、初の日本人講師として子どもたちに楽譜の読み方やリズムの基礎を教えるほか、トロンボーンやピアノ演奏を手ほどきしました。 この音楽塾では、現地の小学生から高校生を中心に約150人の生徒が学んでいて、授業料が払えない子どもも受け入れています。 「ウガンダの子どもたちが、日本から来た私を心から歓迎してくれて嬉しかったです。日本文化や歌にも興味を持って『上を向いて歩こう』やスピッツの曲『空も飛べるはず』を教えてほしいと言われました。みんな熱心で、たった1回教えただけで日本語の歌詞を上手に歌えるようになったのには驚きました」
また、日本から届く楽器も楽しみにしているという生徒たち。特に小学校低学年の子どもたちに人気があるのが「鍵盤ハーモニカ」です。 「子どもたちが喜んで練習する姿を見て、一度は使われなくなった楽器たちが輝いているようでした」 しかし次第に、鍵盤ハーモニカのホースが足りていないことや、楽器のメンテナンスが十分にできていないなど課題も見つかりました。
そんな音楽塾で、麗里香さんは子どもたちから教えられることもあったといいます。 「私は吹奏楽部だったので、まずひとつの楽器を選んでそれをずっと練習するのが当たり前だと思っていました。でも、ウガンダの子たちはその日その日でやりたい楽器を選んでいたのです。お互い『なんで君がその楽器を使っているんだ』ということもないし、譲り合いながら自由に楽しんでいました。そこから自分に合った楽器を見つけていくというのは好奇心にストップをかけず、とても良いスタイルだなと。だからこそ、最初にたくさんの選択肢を与えられるように日本から色々な楽器を届けているのは意義深いことだと感じました」
小学校では音楽の授業が無く 楽器に触れたことがない人も多いウガンダ
ウガンダではほとんどの学校で音楽の授業がないため、麗里香さんは依頼を受けた小学校にも赴き、リコーダーやトランペットなどの楽器の使い方を教える出前授業も行いました。 「小学校では、楽器に触れたことがない子どももたくさんいました。ウガンダでは手に職をつけないと生活するのが大変です。音楽好きな子たちが、教育を受ける機会がないことや経済的な理由で学びを諦めなくていいように、誰もが知識や技術を身につけられる環境は大切だと感じました」 AIMECの音楽塾は「音楽は全ての人が楽しめるものであり、技術である」ことを感じてもらおうと、ピアノ、ジャズドラム、ブラスバンド、ギター、コーラス、ダンスなど様々なコースを設けているほか、技術コースではオーディオ製作をはじめ、大工仕事の技術を習得し、将来経済的に自立するための基盤作りを目標としています。